明治期遊女の名さまざま

                        

菊池眞一

『別世界』第六巻第四号(明治31年5月16日)に
龍虎生の「面白き遊女の名」という一文がある。
普通の姓・名でさえ多々あるのだから、芸名・源氏名・筆名などはほとんど無限ではなかろうか。




面白き遊女の名
               龍虎生


吉原品川楼には面白き名の遊女あり野晒子(のざらし)と三字に書くさへ面白きに其向を張て同楼の中に真晒子(まざらし)と名乗る妓あり其他快花(くわいくわ)、力矢(りきや)などゝ名乗るもあり、大文字の君詩(くんし)を始め変つたのを一纒とすれば喜久家の桂喜(かつらぎ)、川立花の一二三(ひふみ)、四五六(しごろく)、西橋楼の毎浦(ことうら)、彦多楼の殿待(とのまち)、音花井の政八木(まさやぎ)、龍ケ崎(りうがさき)と泰中米に喜長(きちやう)、雲人(くもんど)、久花井の其枝(そのえ)、藤吉楼の玉久(たまひさ)、中村楼の小長(こちやう)、千成楼の花竹(はなたけ)、泰中米の家橘(かきつ)、新吉田家の桜戸(さくらど)、西中楼の小鷹(こたか)、湖柳(こりう)、高橋楼の弟月(ていげつ)、中稲弁の静紫(せいし)、柳河内の鴨緑(ありなれ)、宝来楼の幸富来(こふき)、伊勢楼の琴吹(ことぶき)、山田楼の連(むらじ)、蔀(ひとみ)、尾張楼の工(たくみ)、中(あたる)、定河内の佐芳(さよし)、鶴納(つるの)、相泉の京東(きやうと)、二枡楼の滝橋(たきはし)、宝楼小紋人(こもんど)、大黒楼の大美(おほみ)、米本(よねもと)、玉河内の升柳(ますやぎ)、新宝来の初生(はつをひ)、色雲(いろぐも)、川松金の力(つとむ)、八十代(やそよ)、野村楼野更子(のざらし)、村醒(むらさめ)、松金貞家(ていか)、山登(やまと)、香保世(かほよ)、千中米の高総(たかふさ)、少々(せうせう)、河内楼美佐保(みさほ)、少々(せうせう)、庫人(くらんど)、紫雲(しうん)、新中米少々(せうせう)、金宝来艶粧(つやよそ)、瀬本(せもと)、辰小松金蝶(きんてふ)、備中香保留(かほる)、藤本楼小門戸(こもんど)等あり




2016年1月19日公開

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