五厘の住所

                        

菊池眞一

『芸人』第八号(明治29年1月28日)37頁に、
「互利運(ごりん)の宿所」として、
五厘の住所が示されている。
今の芸能事務所のようなものなのだろうか。東京の芸人をたった10人で仕切っていたのなら、かなりもうかったであろう。
以下、引用。


●互利運(ごりん)の宿所
芸人社会の周旋人(所謂ごりん)は総て左の十名にて今春調べたる宿所を掲ぐ

神田区豊嶋町三十二番地    永重
浅草区西鳥越町三番地     大与枝
同区瓦町二十八番地      円之助・いち
同区北元町八番地       小作
神田区同朋町二十二番地    小長
同区小川町一番地       小田伊
浅草区西鳥越町二番地     大加茂
同区北元町八番地       梅枝
同区新福富町二十二番地    福蔵


辞書の説明は以下のとおり。


『日本国語大辞典』
ごりん【五厘】
②(客一人につき五厘ずつの手数料を取ったところから)東京で、寄席と出演芸人の間に立って出演者の割り振りをする者。


『隠語大辞典』
http://www.weblio.jp/content/%E4%BA%94+%E5%8E%98
五厘
読み方:ごりん
1.寄席と芸人との間に立ち、寄席と日時と芸人とを振り当つる一種の周旋業者。もと、その奔走費として寄席より客一人につき五厘づつの歩合を受けたるよりその名起る。東京に於ての事なり。



2016年2月16日公開

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