「延喜聖代」 総ひらがな版


凡例
平曲では、小秘事の一つとなっていますが、元々「平家物語」の一句では有りません。屋代本平家物語には、将門序としています。

使用テキスト
(1)東京芸術大学蔵本。 【翻】 『評釈平家物語』梅沢和軒(精一)。有宏社。大正元・同12。
(2)平家奥秘抄 彰考館蔵。 【翻】 『平家物語全注釈下二』の付録。冨倉徳次郎。角川書店。
(3)妙覚寺旧蔵本 東京教育大学蔵。 【翻】 『平家物語上』の補注37。高橋貞一。講談社(講談社文庫)。
(4)屋代本 【影】 『屋代本平家物語』春田宣・佐藤謙三。角川書店(貴重古典青叢刊)。昭和41・同48。巻四・九欠。抽書・剣巻上・下。国学院大学図書館蔵、巻二は京都府立総合資料館蔵。屋代弘賢旧蔵。抽書七ヶ条の最後にあり、将門序としています。。(5)前田流譜本 【影】 『前田流譜本平家物語四』秋永一枝・梶原正昭。早稲田大学出版部(早稲田大学蔵資料影印叢書)。昭和60。
(6)尾崎家本 【影】 『平家正節上・下』平家正節刊行会(渥美かをる)。大学堂書店。昭和49。原本尾崎家本。


表記を一部修正しました。歴史的仮名遣いを主とします。仮名のない箇所は、私意に読みました。
他本で補った箇所は、〔 〕に入れました。
*記号の説明   \ / − 
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(1)『評釈平家物語』
「えんぎせいだい」\わが−てう/に\だいごてんわう/と\まうし/て、\せいたい\ましまし/き、\えんぎのみかど/とも\まうす。\うだのほふわう\だいいち/の\みこ、\おんばあ/は\くわんしうじ/の−ないだいじん−たかふぢ−こう/の\おん−むすめ、\じようきやうでん/の−によご/と\まうし/き。\げんけい−くねん−しやうぐわつ−ひとひのひ\ご−たんじやう、\うだのほふわう\その−とき/は\いまだ\じじゆう/にて\ましまし/けれ/ば、\とき/の−ひと\わうじじゆう/と/ぞ\まうし/ける。\わうじじゆう\くらゐ/に\つか/せ\たまひ/しか/ば、\くわんぺい−ぐわんねん−じふにんぐわつ−なぬかのひ、\わうじ\ごさい/に/して\しんわう/の−せんじ/は\くださ/れ/ぬ。\おなじき−ごねん−しぐわつ−ふつかのひ、\わうじ\くさい/に/して\くわうたいし/に\たた/せ\たまふ。\おなじき−くねん−じふぐわつ−いつかのひ、\おんとし\じふさん/にて、\ちち/の\みかど/の\おん−ゆづり/を\うけ/て、\てんし/の\くらゐ/を\ふみ\たまふ。\しかつし/より−このかた、\しん/を\うやまひ\ほふ/に\きし、\ひと/を\あはれみ\たみ/を\めぐみ、\しきでう/を\さだめ、\はつど/を\おこなひ、\ひ/を\ただし、\せいだう/を\さき/と\し\たまへ/り。\されば\いつてん\しづか/に/して、\しかい\ぶじ/なり。\さんくわう/の\ふるき\ためし/に/も\おとら/ず、\ごてい/の\むかし/に/も\こえ/たり/き。\じふじゆん/の\あめ\つちくれ/を\やぶら/ず、\ごしつ\かぜ\えだ/を\ならさ/ず、\みやこ/に/は\くわいろく/の\わざわひ/も\なく、\こくど/に/は\えんかん/の\うれひ/を\きか/ざり/き。\まして\ひやうらん\かく/と\いふ\こと/を/ば、\ゆめ/に/だに\み/ず、\きゆうし/を\ふくろ/に\し、\かんくわ/を\かくし、\をさむ。\とうい\せいじゆう\なんばん\ほくてき、\しんら\はくさい\かうらい\けいたん/まで/も、\くびがみ/を\とい/て\おそれ/を\なし、\はこもの/を\ささげ/て\あふぎ\たてまつり、\くさき/も\なびき、\とぶ\とり/も\したがひ\たてまつる。\ある−とき\みかど\しんせんえん/へ\ぎやうかう\あつ/て\ぎよいう\あり/し/に、\いけ/の\みぎは/に\さぎ/の\ゐ/たり/ける/を、\ろくゐ/を\めし/て、\あの\さぎ\とつ/て\まゐれ/と\おほせ/けれ/ば、\いか/で/か\とら/る/べき/と/は\おもへ/ども、\りんげん/なれ/ば\あゆみ−むかふ。\さぎ\はねづくろひ−し/て\たた/ん/と\す、\せんじ/ぞ/と\あふすれ/ば、\ひら/ん/で\とび−さら/ず、\すなはち\これ/を\とつ/て\ごぜん/へ\まゐらせ/たり/けれ/ば、\みかど\おほき/に\ぎよかん\あり/けり。\なんぢ/が\せんじ/に\したがう/て\まゐり/たる\こと\しんめう/なれ、\やがて\ごゐ/に\なせ/とて\さぎ/を\ごゐ/に/ぞ\なさ/れ/ける。\けふ/より\のち、\さぎ/の\なか/の\わう/たる/べし/と\いふ\ふだ/を、\みづから\あそばい/て\くび/に\つけ/て/ぞ、\はなた/せ\たまふ。\まつたく\これ/は\さぎ/の\おん−れう/に\あら/ず、\ただ\わうゐ/の\ほど/を\しろしめさ/ん/が\ため/なり。
ふゆ/の\よ/の\しも\さへ\てんき\こと/に\はげしき/に/は、\こくど/の\たみ−ども/が\いか/に\さむから/ん/とて、\よる/の−おとど/に/して、\ぎよい/を\ぬが/せ\おはします。\いちじん\いで\たまふ\こと\たやすから/ず、\りつきゆう\したがつ/て\はくし\そなはれ/り/と\いへ/ども、\この\きみ\つね/は\しんぜん\きたの\ぎやうかう\さが\おほゐがは/の\ごかう\あり、\まつたく\これ/は\ぎよいう\みかり/の\おん−れふ/に/は\あら/ず、\しよこく−しちだう/の\じんみん−ひやくしやう−ら/が\うつたへ\まうす\こと/の\てんちやう/に\たつせ/ぬ\こと/も/や\あら/ん/とて、\それ/を\しろしめさ/ん/が\ため/なり。\また\あまり/に\ひと/の\しつぼう/なる/は、\もの/の\まうし−にくき/とて、\の/の\ぎやうかう/の\ひ/は、\てんき\こと/に\ゑみ/を\ふくま/せ\おはします。\かかり/しか/ば、\うらみ/を\ふくむ\ひと/も\なく、\うれひ/を\いだく\たみ/も\なし。\けい/を\いくとせ\ふれ/ども\もちひ/ず、\たみ/が\ほふ/を\をかさ/ざれ/ば、\いへいへ/に/は\とざし−する\こと\わすれ/たり。\せきぜき/は\まぼり、\つつしま/ず、\かくて\きみ\あめ/が−した/を\をさめ\たまふ\こと\さんじふさんねん、\かんこ\こけ\ふかう/して、\けいべんかま\くち/に/き。\すゐこてんわう/より\このかた、\にじふしちだい\かかる\れい/は\いまだ\なし、\めでたかり/ける\おん−よ/かな。\

(2)平家奥秘抄
「えんぎせいだい」\につぽん\わが−てう/に\だいごてんわう/と\まうし/て、\せいたい\ましまし/き。\えんぎのみかど/とも\まうす。\うだのほふわう\だいいち/の\みこ、\おん−はは/は\くわんじゆじ/の−ないだいじん−たかふぢ−こう/の\おん−むすめ、\しようきやうでん/の−にようご/と\まうし/き。\げんけい−くねん−しやうぐわつ−ひとひのひ\〔みこ〕\ご−たんじやう、\うだのほふわう\その−とき/は\いまだ\じじゆう/にて\ましまし/けれ/ば、\とき/の−ひと\わうじじゆう/と\まうし/ける。\わうじじゆう\くらゐ/に\つか/せ\たまひ/しか/ば、\くわんぺい−ぐわんねん−じふにんぐわつ−なぬかのひ、\みこ\ごさい/に/して\しんわう/の−せんじ/は\くださ/れ/ぬ。\おなじき−ごねん−しんぐわつ−ふつかのひ、\みこ\くさい/に/して\くわうたいし/に\たた/せ\たまふ。\おなじき−くねん−じふぐわつ−いつかのひ、\おんとし\じふさん/に/して、\ちち/の\みかど/の\おん−ゆづり/を\うけ/て、\てんし/の\くらゐ/を\ふみ\たまふ。\しかつし/より−このかた、\しん/を\うやまひ\ほふ/に\きし、\ひと/を\あはれみ\たみ/を\めぐみ、\しきでう/を\さだめ、\はつと/を\おこなひ、\ひ/を\ただし、\せいたう/を\さき/と\し\たまへ/り。\されば\いつてん\しづか/に/して、\しかい\ぶじ/なり。\さんくわう/の\ふるき\ためし/に/も\おとら/ず、\ごてい/の\むかし/に/も\こえ/たり/き。\しゆうしゆん/の\あめ\つちくれ/を\やぶら/ず、\ごじつ/の\かぜ\えだ/を\ならさ/ず、\みやこ/に/は\くわいろく/の\わざはひ/も\なし、\こくど/に/は\えんかん/の\うれひ/を\きか/ざり/き。\まして\ひやうらん\ひやうがく/と\いふ\こと/を/ば、\ゆめ/に/だに\み/ず、\きゆうし/を\ふくろ/に\し、\かんくわ/を\かくし、\をさむ。\とうい\せいじゆう\なんばん\ほくてき、\しんら\はくさい\かうらい\けいたん/まで/も、\くみかみ/を\とい/て\おそれ/を\なし、\はこもの/を\ささげ/て\あふぎ\たてまつり、\くさき/も\なびき、\とぶ\とり/も\したがひ\たてまつる。\ある−とき\みかど\しんぜんえん/へ\ぎやうがう\なつ/て\ぎよいう\あり/し/に、\いけ/の\みぎは/に\さぎ/の\ゐ/たり/ける/を、\ろくゐ/を\めし/て、\あの\さぎ\とつ/て\まゐれ/と\おほせ/けれ/ば、\いか/で/か\とら/る/べき/と/は\おもへ/ども、\りんげん/なれ/ば\あゆみ−むかふ。\さぎ\はねづくろひ−し/て\たた/ん/と\す。\せんじ/ぞ/と\おほすれ/ば、\ひら/ん/で\とび−さら/ず、\すなはち\これ/を\とつ/て\ごぜん/へ\まゐらせ/たり/けれ/ば、\みかど\おほき/に\ぎよかん\あつ/て、\なんぢ/が\せんじ/に\したがう/て\まゐり/たる/こそ\しんめう/なれ、\やがて\ごゐ/に\なせ/とて\さぎ/を\ごゐ/に/ぞ\なさ/れ/ける。\けふ/より\のち、\さぎ/の\なか/の\わう/たる/べし/と\いふ\ふだ/を、\みづから\あそばい/て\くび/に\つけ/て/ぞ、\はなた/せ\たまふ。\まつたく\これ/は\さぎ/の\おん−れう/に/は\あら/ず、\ただ\わうゐ/の\ほど/を\しろしめさ/ん/が\ため/なり。
ふゆ/の\しもよ/の\つき\さえ、\てんき\こと/に\はげしき/に/は、\えんぎの−せいだい、\こくど/の\たみ−ども/が\いか/に\さむかる/らん/とて、\よる/の−おとど/に/して、\ぎよい/を\ぬが/せ\おはします。\いちじん\いで\たまふ\こと\たやすから/ず、\りつきゆう\したがつ/て\はくし\そなはれ/り/と\いへ/ども、\この\きみ\つね/は\しんぜん\きたの/の\ぎやうがう\さが\おほゐがは/の\みゆき\あり。\まつたく\これ/は\ぎよいう\みかり/の\おん−れう/に/は\あら/ず、\しよこく−しちだう/の\にんみん−ひやくしやう−ら/が\うつたへ\まうす\こと/の\てんちやう/に\たつせ/ぬ\こと/も/や\ある/らん/とて、\それ/を\しろしめさ/ん/が\ため/なり。\また\あまり/に\ひと/の\しつぽう/なる/は、\もの/の\まうし−にくき/に/とて、\の/の\ぎやうがう/の\ひ/は、\てんき\こと/に\ゑみ/を\ふくま/せ\おはします。\かかり/しか/ば、\うらみ/を\ふくむ\ひと/も\なく、\うれへ/を\いだく\たみ/も\なし。\けい\おいて\とし/を\ふれ/ども\もちひ/ず、\たみ/が\ほふ/を\をかさ/ざれ/ば、\いへいへ/に/は\とざし−する\こと\わすれ/たり。\せきぜき/は\まぼり、\つつしま/ず、\かくて\きみ\あめ/が−した/を\をさめ\たまふ\こと\さんじふさんねん、\かんこ\こけ\ふかう/して、\けいべんかま\くち/に/き。\すゐこてんわう/より\このかた、\にじふしちだい\かかる\れい/は\いまだ\なし。\めでたかり/ける\おん−よ/かな。\

(3)妙覚寺旧蔵本
「えんぎせいだい」\につぽん\わが−てう/に\だいごのてんわう/と\まうし/て、\せいたい\ましまし/き。\えんぎのみかど/とも\まうす。\うだのほふわう\だいいち/の\みこ、\おん−はは/は\くわんじゆじ/の−ないだいじん−たかふぢ−こう/の\おん−むすめ、\しようきやうでん/の−にようご/と\まうし/き。\げんけい−くねん−しやうぐわつ−ひとひのひ\みこ\ご−たんじやう、\うだのほふわう\その−とき/は\いまだ\じじゆう/にて\ましまし/けれ/ば、\とき/の−ひと\わうじじゆう/と\まうし/ける。\わうじじゆう\くらゐ/に\つか/せ\たまひ/しか/ば、\くわんぺい−ぐわんねん−じふにんぐわつ−なぬかのひ、\みこ\ごさい/に/して\しんわう/の−せんじ/は\くださ/れ/ぬ。\おなじき−ごねん−しぐわつ−ふつかのひ、\〔わうじ\くさい/に/して〕\くわうたいし/に\たた/せ\たまふ。\おなじき−くねん−じふぐわつ−いつかのひ、\おんとし\じふさん/に/して、\ちち/の\みかど/の\おん−ゆづり/を\うけ/て、\てんし/の\くらゐ/を\ふみ\たまふ。\しかつし/より−このかた、\しん/を\うやまひ\ほふ/に\きし、\ひと/を\あはれみ\たみ/を\めぐみ、\しきでう/を\さだめ、\はつと〔/を〕\おこなひ、\ひ/を\ただし、\せいたう/を\さき/と\し\たまへ/り。\されば\いつてん\しづか/に/して、\しかい\ぶじ/なり。\さんくわう/の\ふるき\ためし/に/も\おとら/ず、\ごてい/の\むかし/に/も\こえ/たり/き。\じふじゆん/の\あめ\つちくれ/を\やぶら/ず、\ごじつ/の\かぜ\えだ/を\ならさ/ず、\みやこ/に/は\くわいろく/の\わざわひ/も\なく、\こくど/に/は\えんかん/の\うれひ/を\きか/ざり/き。\まして\ひやうらん\ひやうがく/と\いふ\こと/を/ば、\ゆめ/に/だに\み/ず、\きゆうし/を\ふくろ/に\し、\かんくわ/を\かくし、\をさめ、\とうい\せいじゆう\なんばん\ほくてき、\しんら\はくさい\かうらい\けいたん/まで/も、\くみがみ/を\とい/て\おそれ/を\なし、\はこもの/を\ささげ/て\あふぎ\たてまつる。\くさき/も\なびき、\とぶ\とり/も\したがひ\たてまつる。\ある−とき\みかど\しんぜんえん/へ\ぎやうがう\なつ/て\ぎよいう\あり/し/に、\いけ/の\みぎは/に\さぎ/の\ゐ/たり/ける/を、\ろくゐ/を\めし/て、\あの\さぎ\とつ/て\まゐれ/と\おほせ/けれ/ば、\いか/で/か\とら/る/べき/と/は\おもへ/ども、\りんげん/なれ/ば\あゆみ−むかふ。\さぎ\はねづくろひ−し/て\たた/ん/と\す。\せんじ/ぞ/と\おほせ/けれ/ば、\ひら/ん/で\とび−さら/ず、\すなはち\〔これ/を〕\とつ/て\ごぜん/へ\まゐらせ/たり/けれ/ば、\みかど\おほき/に\ぎよかん\あつ/て、\なんぢ/が\せんじ/に\したがう/て\まゐり/たる/こそ\しんべう/なれ。\やがて\ごゐ/に\なせ/とて\さぎ/を\ごゐ/と/ぞ\なさ/れ/ける。\けふ/より\のち、\さぎ/の\なか/の\わう/たる/べし/と\いふ\ふだ/を、\みづから\あそばい/て\くび/に\つけ/て/ぞ、\はなた/せ\たまふ。\まつたく\これ/は\さぎ/の\おん−れう/に/は\あら/ず、\ただ\わうゐ/の\ほど/を\しろしめさ/ん/が\ため/なり。
ふゆ/の\しもよ/の\つき\さえ、\てんき\こと/に\はげしき/に/は、\えんぎの−せいだい、\こくど/の\たみ−ども/が\いか/に\さむから/ん/とて、\よる/の−おとど/に/して、\ぎよい/を\ぬが/せ\おはします。\いちじん\いで\たまふ\こと\たやすから/ず、\りつきゆう\したがつ/て\はくし\そなはれ/り/と\いへ/ども、\この\きみ\つね/は\しんぜん\きたの/の\ぎやうがう\さが\おほゐがは/の\ぎやうがう\〔あり〕、\まつたく\これ/は\ぎよいう\おん−ひとり/の\おん−れう/に/は\あら/ず、\しよこく−しちだう/の\にんみん−ひやくしやう−ら/が\〔うつたへ\まうす\こと/の〕\てんちやう/に\ほうぜ/ぬ\こと/も/や\ある/らん/とて、\それ/を\しろしめさ/ん/が\ため/なり。\また\あまり/に\ひと/の\しづぽう/なる/は、\もの/の\まうし−にくき/に/とて、\の/の\ぎやうがう/の\ひ/は、\てんき\こと/に\ゑみ/を\ふくま/せ\おはします。\かかり/しか/ば、\うらみ/を\ふくむ\ひと/も\なく、\うれへ/を\いだく\たみ/も\なし。\けい\おいて\とし\ふれ/ども\もちひ/ず、\たみ/が\ほふ/を\をかさ/ざれ/ば、\いへいへ/に/は\とざし−する\こと\わすれ/たり。\せきぜき/は\まぼり、\つつしま/ず、\〔かくて〕\きみ\あめ/が−した/を\をさめ\たまふ\こと\さんじふさんねん、\かんこ\こけ\ふかう/して、\けいべんかま\くち/に/き。\すゐこてんわう/より\このかた、\にじふしちだい\かかる\ためし/は\いまだ\なし。\めでたかり/ける\おん−よ/かな。\

(4)屋代本
「まさかどのじよ」\につぽん\わが−てう/に\だいごのてんわう/とて、\せいたい\ましまし/き。\えんぎのみかど/とも\まうす。\うだのゐん、\だいいち/の\わうじ、\おん−はは/は\くわんじゆじ/の−ないだいじん−たかふぢ〔−こう〕/の\おん−むすめ、\しようきやうでん/の−にようご/と/ぞ\まうし/ける。\げんけい−くねん−しやうぐわつ−じふはちにち、\〔みこ〕\ご−たんじやう、\その−とき/は\うだのゐん、\いまだ\おん−くらゐ/に/も\つか/せ\たまは/ず、\じじゆう/にて\ましまし/けれ/ば、\とき/の−ひと\わうじじゆう/と/ぞ\まうし/ける。\わうじじゆう\くらゐ/に\つか/せ\たまひ/しか/ば、\くわんぺい−ぐわんねん−じふにんぐわつ−にじふごにち、\みこ\ごさい/にて\しんわう/の−せんじ/を\かうむら/せ\たまふ。\おなじき−ごねん−しんぐわつ−みつかのひ、\〔わうじ〕\くさい/にて\くわうたいし/に\たた/せ\たまふ。\おなじき−くねん−しちぐわつ−ふつかのひ、\〔おんとし〕\じふさん/にて、\うだのゐん/の\おん−ゆづり/を\うけ/させ\たまひ/て、\てんし/の\くらゐ/を\ふみ\たまふ。\しかつし/より−このかた、\しん/を\うやまひ\ほふ/に\きし、\ひと/を\あはれみ\たみ/を\めぐみ、\〔しきでう/を\さだめ、〕\ばつ/を\おこなひ、\ひ/を\ただす、\せいたう/を\さき/と\し\たまへ/り。\さんくわう/の\ふるき\ためし/に/も\おとら/ず、\ごてい/の\むかし/の−あと/に/も\こえ/たり/き。\されば/に/や\いつてん\たひらか/に、\しかい\ぶじ/なり/き。\しつしゆん/の\あめ\つちくれ/を\やぶら/ず、\ごじつ/の\かぜ\えだ/を\ならさ/ず、\みやこ/に/は\くわいろく/の\わざはひ/も\なく、\こくど/に/は\えんかん/の\うれへ/を/も\きか/ざり/き。\まして\ひやうがく\ひやうらん/と\いふ\こと/は、\ゆめ/に/だに/も\み/ず、\きゆうし/を\ふくろ/に\いれ、\かんくわ/を\かくし、\をさむ。\なんばん\ほくてき、\とうい\せいじゆう\しんら\はくさい\かうらい\けいたん/まで/も、\くみかみ/を\とい/て\おそれ/を\なし、\はこもの/を\ささげ\あふぎ\たてまつる。\くさき/も\なびき、\とぶ\とり/も\したがひ\たてまつる。\ある−とき\みかど\しんぜんえん/に\ごかう\なつ/て\〔ぎよいう\あり/し/に、〕\いけ/の\みぎは/に\さぎ/の\ゐ/たり/ける/を、\ろくゐ/を\めし/て、\あの\さぎ\とつ/て\まゐれ/と\おほせ/けれ/ば、\ろくゐ\いか/で/か\とら/ん/と\おもひ/けれ/ども、\りんげん/なれ/ば\あゆみ−むかふ。\さぎ\はねづくろひ−し/て\たた/ん/と\す。\せんじ/ぞ。\まかり−たつ/な/と\おほせ/けれ/ば、\さぎ\ひら/ん/で\とび−さら/ず、\〔すなはち〕\これ/を\とつ/て\〔ごぜん/へ〕\まゐり/たり。\みかど\〔おほき/に〕\ぎよかん\あつ/て、\なんぢ/が\せんじ/に\したがう/て\まゐり/たる\こと\しんべう/なれ。\やがて\ごゐ/に\なせ/とて\〔さぎ/を〕\ごゐ/に\なさ/る。\けふ/より/して、\なんぢ\さぎ/の\なか/の\わう/たる/べし/とて\み−ふだ/を、\〔みづから〕\あそばし/て\さぎ/の\くび/に\つけ/て、\はなた/せ\おはします。\まつたく\〔これ/は〕\さぎ/の\ごよう/に\あら/ず、\〔ただ〕\わうゐ/の\ほど/を\しろしめさ/れ/ん/が\ため/なり。
〔ふゆ/の\しもよ/の\つき\さえ、\てんき\こと/に\はげしき/に/は、\えんぎの−せいだい、\こくど/の\たみ−ども/が\いか/に\さむかる/らん/とて、\よる/の−おとど/に/して、\ぎよい/を\ぬが/せ\おはします。〕\いちじん\いで\たまふ\こと\たやすから/ず、\れいきゆう\したがひ/て\はくし\そなはれ/り/と\いへ/ども、\〔この\きみ〕\つね/は\しんぜん\ほくや/の\ぎやうがう\さが\おほゐがは/の\れきらん\あり。\〔まつたく〕\これ/は\ぎよいう\かり/の\おん−れう/に\あら/ず、\しよこく−しちだう/の\にんみん−ひやくしやう−ら/が\うれうる\こと/の\てんちやう/に\たつせ/ぬ\こと/も/や\ある/らん/とて、\それ/を\しろしめさ/ん/が\ため/なり。\〔また〕\あまり/に\ひと/の\しきぼふ/なる/は、\もの/の\まうし−にくかん/なる/とて、\の/の\ぎやうがう/の\ひ/は、\りようがん\こと/に\おん−こころ−よ−げ/にて、\ゑみ/を\ふくま/せ\たまひ/けり。\されば/に/や\うらみ/を\ふくむ\ひと/も\なく、\うれひ/を\のこす\たみ/も\なし。\ふゆ/の\よる\ゆき\ふり\さむへ/たる\とき/は、\こくど/の\たみ−ども/が\いか/に\さむかる/らん/とて、\よる/の−おとど/より\ぎよい/を\ぬが/せ\たまひ/て、\おし−いださ/せ\たまひ/ける\こと/こそ\まこと/に\かたじけなかり/しか。\けいしやく\とし/を\ふれ/ども\もちひ/ず、\たみ/が\ほふ/を\をかさ/ざれ/ば、\いへいへ/に/は\とざし−する\こと/を\わすれ/たり。\せきぜき/は\まぼり、\つつしま/ず、\かくて\みかど\よ/を\をさめ\たまふ\こと\さんじふさんねん、\かんこ\こけ\ふかう/して、\けいべんかま\くち/に/き。\すゐこてんわう/より\このかた、\にじふしちだい\いまだ\かかる\れい/こそ\なかり/けれ。\〔めでたかり/ける\おん−よ/かな。〕\

(5)前田流譜本
「えんぎせいだい」\わが−てう/に\だいごのてんわう/と\まうし/て、\せいたい\ましまし/き。\えんぎのみかど/とも\まうす。\うだのほふわう\だいいち/の\みこ、\おん−はは/は\くわんじゆじ/の−ないだいじん−たかふぢ−こう/の\おん−むすめ、\しようきやうでん/の−にようご/と\まうし/き。\げんけい−くねん−しやうぐわつ−ひとひのひ\〔みこ〕\ご−たんじやう、\うだのほふわう\その−とき/は\いまだ\じじゆう/にて\ましまし/けれ/ば、\とき/の−ひと\わうじじゆう/と/ぞ\まうし/ける。\わうじじゆう\くらゐ/に\つか/せ\たまひ/しか/ば、\くわんぺい−ぐわんねん−じふにんぐわつ−なぬかのひ、\わうじ\ごさい/に/して\しんわう/の−せんじ/は\くださ/れ/ぬ。\おなじき−ごねん−しんぐわつ−ふつかのひ、\わうじ\くさい/に/して\くわうたいし/に\たた/せ\たまふ。\おなじき−くねん−じふぐわつ−いつかのひ、\おんとし\じふさん/にて、\ちち/の\みかど/の\おん−ゆづり/を\うけ/て、\てんし/の\くらゐ/を\ふみ\たまふ。\しかつし/より−このかた、\しん/を\うやまひ\ほふ/に\きし、\ひと/を\あはれみ\たみ/を\めぐみ、\しきでう/を\さだめ、\はつと〔/を〕\おこなひ、\ひ/を\ただし、\せいたう/を\さき/と\し\たまへ/り。\されば\いつてん\しづか/に/して、\しかい\ぶじ/なり。\さんくわう/の\ふるき\ためし/に/も\おとら/ず、\ごてい/の\むかし/に/も\こえ/たり/き。\じふじゆん/の\あめ\つちくれ/を\やぶら/ず、\ごじつ/の\かぜ\えだ/を\ならさ/ず、\みやこ/に/は\くわいろく/の\わざはひ/も\なく、\こくど/に/は\えんかん/の\うれひ/を\きか/ざり/き。\まして\ひやうらん\ひやうがく/と\いふ\こと/を/ば、\ゆめ/に/だに\み/ず、\きゆうし/を\ふくろ/に\し、\かんくわ/を\かくし、\をさむ。\とうい\せいじゆう\なんばん\ほくてき、\しんら\はくさい\かうらい\けいたん/まで/も、\くみがみ/を\とい/て\おそれ/を\なし、\はこもの/を\ささげ/て\あふぎ\たてまつり、\くさき/も\なびき、\とぶ\とり/も\したがひ\たてまつる。\ある−とき\みかど\しんぜんえん/へ\ぎやうがう\なつ/て\ぎよいう\あり/し/に、\いけ/の\みぎは/に\さぎ/の\ゐ/たり/ける/を、\ろくゐ/を\めし/て、\あの\さぎ\とつ/て\まゐれ/と\おほせ/けれ/ば、\いか/で/か\とら/る/べき/と/は\おもへ/ども、\りんげん/なれ/ば\あゆみ−むかふ。\さぎ\はねづくろひ−し/て\たた/ん/と\す。\せんじ/ぞ/と\おほすれ/ば、\ひら/ん/で\とび−さら/ず、\すなはち\これ/を\とつ/て\ごぜん/へ\まゐらせ/たり/けれ/ば、\みかど\おほき/に\ぎよかん\あり/けり。\なんぢ/が\せんじ/に\したがう/て\まゐり/たる/こそ\しんべう/なれ。\やがて\ごゐ/に\なせ/とて\さぎ/を\ごゐ/に/ぞ\なさ/れ/ける。\けふ/より\のち、\さぎ/の\なか/の\わう/たる/べし/と\いふ\ふだ/を、\みづから\あそばい/て\くび/に\つけ/て/ぞ、\はなた/せ\たまふ。\まつたく\これ/は\さぎ/の\おん−りゆう/に/は\あら/ず、\ただ\わうゐ/の\ほど/を\しろしめさ/ん/が\ため/なり。
ふゆ/の\よ/の\しも\さえ、\てんき\こと/に\はげしき/に/は、\〔えんぎの−せいだい、〕\こくど/の\たみ−ども/が\いか/に\さむかる/らん/とて、\よる/の−おとど/に/して、\ぎよい/を\ぬが/せ\おはします。\[B いちじん\いで\たまふ\こと\たやすから/ず、]\りつきゆう\したがつ/て\はくし\そなはれ/り/と\いへ/ども、\この\きみ\つね/は\しんぜん\きたの/の\ぎやうがう\さが\おほゐがは/の\みゆき\あり。\まつたく\これ/は\ぎよいう\みかり/の\おん−りよう/に/は\あら/ず、\しよこく−しちだう/の\にんみん−ひやくしやう−ら/が\うつたへ\まうす\こと/の\てんちやう/に\たつせ/ぬ\こと/も/や\ある/らん/とて、\それ/を\しろしめさ/ん/が\ため/なり。\また\あまり/に\ひと/の\しつぽう/なる/は、\もの/の\まうし−にくき/とて、\の/の\ぎやうがう/の\ひ/は、\てんき\こと/に\ゑみ/を\ふくま/せ\おはします。\かかり/しか/ば、\うらみ/を\ふくむ\ひと/も\なく、\うれひ/を\いだく\たみ/も\なし。\けい/を\いくとせ/を\ふれ/ども\もちひ/ず、\たみ/が\ほふ/を\をかさ/ざれ/ば、\いへいへ/に/は\とざし−する\こと\わすれ/たり。\せきぜき/は\まぼり、\つつしま/ず、\かくて\きみ\あめ/が−した/を\をさめ\たまふ\こと\さんじふさんねん、\かんこ\こけ\ふかう/して、\けいべんかま\くち/に/き。\すゐこてんわう/より\このかた、\にじふしちだい\かかる\れい/は\いまだ\なし。\めでたかり/ける\おん−よ/かな。\いつてん\てんが/を\をさめ\たまふ\こと\とし\ひさし。\

(6)尾崎家本
「えんぎせいだい」\わが−てう/に\だいごのてんわう/と\まうし/て、\せいたい\ましまし/き。\えんぎのみかど/とも\まうす。\うだのほふわう\だいいち/の\みこ、\おん−はは/は\くわんじゆじ/の−ないだいじん−たかふぢ−こう/の\おん−むすめ、\しようきやうでん/の−にようご/と\まうし/き。\げんけい−くねん−しやうぐわつ−ひとひのひ\〔みこ〕\ご−たんじやう、\うだのほふわう\その−とき/は\いまだ\じじゆう/にて\ましまし/けれ/ば、\とき/の−ひと\わうじじゆう/と/ぞ\まうし/ける。\わうじじゆう\くらゐ/に\つか/せ\たまひ/しか/ば、\くわんぺい−ぐわんねん−じふにんぐわつ−なぬかのひ、\わうじ\ごさい/に/して\しんわう/の−せんじ/は\くださ/れ/ぬ。\おなじき−ごねん−しんぐわつ−ふつかのひ、\わうじ\くさい/に/して\くわうたいし/に\たた/せ\たまふ。\おなじき−くねん−じふぐわつ−いつかのひ、\おんとし\じふさん/にて、\ちち/の\みかど/の\おん−ゆづり/を\うけ/て、\てんし/の\くらゐ/を\ふみ\たまふ。\しかつし/より−このかた、\しん/を\うやまひ\ほふ/に\きし、\ひと/を\あはれみ\たみ/を\めぐみ、\しきでう/を\さだめ、\はつと〔/を〕\おこなひ、\ひ/を\ただし、\せいたう/を\さき/と\し\たまへ/り。\されば\いつてん\しづか/に/して、\しかい\ぶじ/なり。\さんくわう/の\ふるき\ためし/に/も\おとら/ず、\ごてい/の\むかし/に/も\こえ/たり/き。\じふじゆん/の\あめ\つちくれ/を\やぶら/ず、\ごじつ/の\かぜ\えだ/を\ならさ/ず、\みやこ/に/は\くわいろく/の\さい/も\なく、\こくど/に/は\えんかん/の\うれひ/を\きか/ざり/き。\まして\ひやうらん\ひやうがく/と\いふ\こと/を/ば、\ゆめ/に/だに\み/ず、\きゆうし/を\ふくろ/に\し、\かんくわ/を\かくし、\をさむ。\とうい\せいじゆう\なんばん\ほくてき、\しんら\はくさい\かうらい\けいたん/まで/も、\くみがみ/を\とい/て\おそれ/を\なし、\はこもの/を\ささげ/て\あふぎ\たてまつり、\くさき/も\なびき、\とぶ\とり/も\したがひ\たてまつる。\ある−とき\みかど\しんぜんえん/へ\ぎやうがう\なつ/て\ぎよいう\あり/し/に、\いけ/の\みぎは/に\さぎ/の\ゐ/たり/ける/を、\ろくゐ/を\めし/て、\あの\さぎ\とつ/て\まゐれ/と\おほせ/けれ/ば、\いか/で/か\とら/る/べき/と/は\おもへ/ども、\りんげん/なれ/ば\あゆみ−むかふ。\さぎ\はねづくろひ−し/て\たた/ん/と\す。\せんじ/ぞ/と\おほすれ/ば、\ひら/ん/で\とび−さら/ず、\すなはち\これ/を\とつ/て\ごぜん/へ\まゐらせ/たり/けれ/ば、\みかど\おほき/に\ぎよかん\あり/けり。\なんぢ/が\せんじ/に\したがう/て\まゐり/たる/こそ\しんべう/なれ。\やがて\ごゐ/に\なせ/とて\さぎ/を\ごゐ/に/ぞ\なさ/れ/ける。\けふ/より\のち、\さぎ/の\なか/の\わう/たる/べし/と\いふ\ふだ/を、\みづから\あそばい/て\くび/に\つけ/て/ぞ、\はなた/せ\たまふ。\まつたく\これ/は\さぎ/の\おん−りゆう/に/は\あら/ず、\ただ\わうゐ/の\ほど/を\しろしめさ/ん/が\ため/なり。
ふゆ/の\よ/の\しも\さえ、\てんき\こと/に\はげしき/に/は、\〔えんぎの−せいだい、〕\こくど/の\たみ−ども/が\いか/に\さむかる/らん/とて、\よる/の−おとど/に/して、\ぎよい/を\ぬが/せ\おはします。\いちじん\いで\たまふ\こと\たやすから/ず、\りつきゆう\したがつ/て\はくし\そなはれ/り/と\いへ/ども、\この\きみ\つね/は\しんぜん\きたの/の\ぎやうがう\さが\おほゐがは/の\みゆき\あり。\まつたく\これ/は\ぎよいう\みかり/の\おん−りよう/に/は\あら/ず、\しよこく−しちだう/の\にんみん−ひやくしやう−ら/が\うつたへ\まうす\こと/の\てんちやう/に\たつせ/ぬ\こと/も/や\ある/らん/とて、\それ/を\しろしめさ/ん/が\ため/なり。\また\あまり/に\ひと/の\しつぽう/なる/は、\もの/の\まうし−にくき/とて、\の/の\ぎやうがう/の\ひ/は、\てんき\こと/に\ゑみ/を\ふくま/せ\おはします。\かかり/しか/ば、\うらみ/を\ふくむ\ひと/も\なく、\うれひ/を\いだく\たみ/も\なし。\けい/を\いくとせ/を\ふれ/ども\もちひ/ず、\たみ/が\ほふ/を\をかさ/ざれ/ば、\いへいへ/に/は\とざし−する\こと\わすれ/たり。\せきぜき/は\まぼり、\つつしま/ず、\かくて\きみ\あめ/が−した/を\をさめ\たまふ\こと\さんじふさんねん、\かんこ\こけ\ふかう/して、\けいべんかま\くち/に/き。\すゐこてんわう/より\このかた、\にじふしちだい\かかる\れい/は\いまだ\なし。\めでたかり/ける\おん−よ/かな。\てん\てんが/を\をさめ\たまふ\こと\とし\ひさし。\