『〔日本〕滑稽辞林』(〔 〕内は割書)は、明治36年10月15日、安田書店から刊行された。編集兼発行者が安田万次郎となっているが、実際編集に当たったのは宮武外骨である。巻頭に「滑稽新聞記者編纂」とあることと、次の事実から判断される。
『滑稽新聞』第14号(明治34年9月25日発行)から第57号(明治36年9月20日)にかけて「〔日本〕滑稽大辞林」(〔 〕内は割書)が連載されているが、『〔日本〕滑稽辞林』と「〔日本〕滑稽大辞林」とは内容がほとんど同じである。『滑稽新聞』の編集発行人は宮武外骨であること、定説となっている。
『滑稽新聞』第59号(明治36年10月25日)には、
  ●安田書店の出版書籍
として『罵倒文学』と『滑稽辞林』を紹介している。『滑稽辞林』については次のように記している。

これは本誌に連載したものに、訂正増補を加へて寸珍本にした迄のものですから、大きな提灯持もしにくいが、一冊の本になツて序文もつき、附録もついて居るのであるから体裁もよく、又イザと云ふ時の捜索にも便利です、殊に表紙の意匠には開いた口が閉がらない事は請合です、

『滑稽新聞』掲載の「〔日本〕滑稽大辞林」には過激な記述(野口茂平等批判)が見られるが、単行本『〔日本〕滑稽辞林』はそれを大部分削除している。ここでは、『〔日本〕滑稽辞林』に拠りつつも、「〔日本〕滑稽大辞林」の記述を復元することにした。『〔日本〕滑稽辞林』になく「〔日本〕滑稽大辞林」に拠った記述には※印を付した。
また、「〔日本〕滑稽大辞林」は五十音順だが、『〔日本〕滑稽辞林』はイロハ順である。ここではイロハ順とした。



〔日本〕滑稽辞林


滑稽辞林序
ウヱブスターの辞書は机の上の飾り物なり康煕字典は枕の代用となる当今マタゾロ辞書字典の類を鉛に上すは愚なる事には似たれど茲に出すはさる筋のものにあらで言霊の幸はふ国といへる我国の風俗人情と直接の関係ある粋不粋の洒落言葉「滑稽辞林」と名づけてあまたの辞書字典の中に落ちた」るをのみ集め面白きが上に諷世罵俗の意をも含めしなど古今に例なき珍妙の書物なり読んだ上にて枕のタシにするとも飾り物にするとも夫は買ふた人の任意なるべし
明治三十六年十月
              対水楼主人


滑稽辞林例言
一此本は我国の俗語や俚諺の滑稽洒落に関係することを弘く集めたものです、其基は滑稽新聞記者が一昨三十四年の九月から本年の九月まで満二ケ年の間編纂に苦心して同新聞四十冊余の紙上に続けて載せたものを今度訂正増補したのです
一俗語や俚諺の中には猥褻のことが多くありますが滑稽辞林としての完全を期するのにはそれをも残らず集めなければならぬのですが風俗上イカヾハシイによツて大概省いて載せませぬ
一此滑稽辞林の編纂は滑稽新聞記者の苦心ばかりでは無く時には長門守髯無だの天橋小史だの雪間生、虎前亭張倒、浮気坊影弁慶、六厘坊、ナイチンなど云ふ人々も加効したものです
明治三十六年十月           雅蘭堂主人


※(〔日本〕滑稽大辞林  はしがき)
我が日の本は遠き古より言霊の幸ふ国とて大和言の葉の数多きものから或は其雅びたるを集め或は其鄙めけるを蒐め辞書字林として梓に上せるもの充棟もたゞならねど尚其うちに洩れたる節も少からず吾等茲に見る所あり其洩れたるを拾ひ其隠れたるを顕はし『滑稽大辞林』として世に資せんと欲す見ん人其心して読み給へかしと云爾



〔日本〕滑稽辞林
             滑稽新聞記者編纂

     い

いろ 情夫、情婦、又男女両性間の交際事(つきあひごと)
※いも 薩摩人のこと、又親子仲の好きこと
いも 薩摩人のこと、又親子仲の好すぎる事
いき 帰りのない人、男女のしたふ姿(なり)
※いとう 日本第一の好色爺、大勲位侯爵
いかけ 大阪語夫婦の同行、語原は雲錦随筆に出づ
いせや 吝嗇者、又江戸の名物伊勢屋稲荷に犬の糞
いなせ 職人肌の通がりをいふ
いかず 根性悪、憎まれ者
いやよ 好かないこと、いやみ
※いはや タツタ二百万円、自称天狗
いろめ 男女間通用の変な目つき
いゝよ よくツてよ
いんちき 詐欺手段の一種、詳細は滑稽新聞にあり
いかさま 同上
いなもの 縁は異なもの味なもの
いぬじに 死甲斐の無いくたばり様(やう)
いひぐさ 花の咲かない言葉の草
いやがる 無理に捉へてもダメなり
※いたぶる ユスリ、原稿を目の前に突出すこと
いたぶる ユスリ、新聞原稿を目の前に突出すこと
※いりまめ 花が咲く、書生の金平糖
※いたがき 腐れかゝつた板垣の老耄爺(おひぼれおやぢ)
いんけつ 大阪語あかん奴のこと
※いちろく 巌谷修、質屋、賭博
いちもつ 胸に一物背中に二モツ
いとはん とーちやん、お嬢さま
いかれた やられた、一杯喰はされた
いきすぎ 生意気、面賢、出過者
いやらし 見苦しき物事
いけどる 弗函又は椋鳥を捕へること
いゝきび ざまを見やがれ
※いツとき 茶腹も
※いばさう 代天誅醜賊星亨
※いうらん 女の様な男
いきなり バツタリ
いちげん 大阪語馴染でないこと
いかものし いかさま物を売るやし
※いひわたし 被告を罰金五十円に処す
いはくあり いはれある事
いりあげる サアサ背負ツてけ持ツてけ
いたばさみ 両方から責められること
いけすかぬ 東京語いやな奴
※いちはやく 大阪毎日新聞の報道迅速
※いなりさま 松茸の名所
※いきのびる 無期徒刑
※いくぢなし 自殺せざる伊庭想などをいふ
いくぢなし 腰抜、役立たず
いチやづく 一種の醜事
いざゝらば これにて御免を
いはたおび 隠しきれぬ腹
いやなこと あんな老爺(おやぢ)
いぢきたな 伊藤博文、摘み食
いびりだす 姑が嫁を
いはやてんぐ タツタ四百万円、自称天狗
いのいちばん 早いこと
いつてんばり 色気或は食気
※いたしかゆし 泣き面に蜂
いたしかゆし 未決の一喜一憂
いらぬおせわ 余計な御心配
いすかのはし すかたん、ぐれはま、喰違ひ
いまいましい 覚へて居ろ
いうれいかぶ 払込まぬ株券
※いかものくひ 下女(おさん)でも乳母(おんば)でも
いかものくひ 変つた物を欲しがる奴
※いざかまくら お逃げなさい
いざかまくら ソリヤ戦争と云ふ事
※いとこどうし 鴨の味
いたちのみち 其後お出でがない
いらツしやい おいでやす
いんだうわたす 破産宣告、往生さす
いツせいちだい 度々あること
※いまだうきやう 浮田桂造の渾名
いまだうきやう 渾名にあり
いしべけんきち 石橋を叩いて渡る人
いちもにもなし グーの音も出ず
いけシャーシャー 蛙の面に水
いきぼとけさま 本願寺好色坊主
いちぶせんかう 一口話
いちろくぎんかう 質屋
いツぽんまゐツた 閉口頓首
※いきがけのだちん 二十七八(はたなや)新聞昨今のユスリ
いきがけのだちん 逃走の時の拐帯
いきうまのめをぬく 大詐欺師
いりまめにはながさく 古今未曾有
いぬもあるけばばうにあたる 意外の得


     

ろは ロハ、只
ろくでなし 碌な奴でなしの意
ろくろくび 首筋の細長い女
ろくぬすびと 尸位素餐の官吏
ろんよりしようこ 実地実物
ろんごよみのろんごしらず 教育家の悪事
※ろくでなしやらう 恥知らずで立身しやうとは
※ろんにかゝらぬやつ 箸にも棒にもかゝらぬ
※先頃の「大阪朝日新聞」に「大阪市に二人の野口茂平あらんことを祈るものなり」とあツたが、大阪市会議員の野口茂平と詐欺師の野口茂平との二人ある様だが、是はツマリ一人ぢや、彼奴(きやつ)の様な図太い野郎が此大阪に二人もあツてタマルものか


     

はな ぽち、祝儀、八々
ばば 米の異りたるもの、即ち糞
はこ 同上 世の中は食ふてはこして
はき 浮気客(大阪語)
はせ 房内経に曰く玉茎男陰名也
はま 拳法の八
はつ 初穂のはつ、初物のはつ
はね 劇場(しばゐ)の打出し、泥の飛沫(とばしり)
はり 娼妓の見識
はん 奇数、丁の対
はる 女を口説くこと、経師屋、狼
ばか 阿房、むき身になる貝
ばり 馬の小便
ばつ がわるい、機会
ばくち 丁半、八八の類
はてナ どうした事であらう、合点がゆかぬ
はだし 無口銭、閉口して逃る時
はいた 浄瑠璃稽古
ばかり お前ばかりが男じやないよ
はげる 鍍金が、嘘が、化の皮が
はしり 初物
はすば 蓮葉姫、蓮葉芸妓の類
はがい 歯痒い、じれツたい
ぱツぱ 小児(こども)の煙草
※ばらす 逃がすこと
ばらす 逃がす、又殺す
はちはち 八十八の略
はふばふ 這々の体
はちおひ 車上の物を盗む賊
はこのり 汽車中のスリ
はツたり 懸賞募集、富籤、豆板
はいから 首の廻らぬ紳士
はぎとる ポン引宿の主人が田舎者の衣類を
はじける 炒豆
はみだし 一旦入れた物をまた出す事
※はらぐろ 詐欺師野口茂平
はらぐろ 詐欺師、賄賂取、盗人、其他悪人
はりかた 女子国語読本にあり
はんゑり 半玉芸妓
はたなや ユスリ新聞、はかなや
はゞかり 大小便をする事
はなたか 自慢、天狗
ばーちー 小児が汚いと云ふ事
ばツたり サー旦那の順ですヨ
ばけもの 女、妖怪物
ばてれん 切支丹魔法遣ひ
ばくれん 連の莫い女
はりがみ 貸家、売家
はがうく 生半可の言行は
はしまめ 助倍男
ぱくつく 食べる、頰張る
ぱりぱり 威張ツたもの
ばーやー 傅母(うば)、小間遣ひ婆
ばたくさ あはてくさる、騒ぐ
はちあはせ あたまごツつり
はんこずり 定文句
はにはさる ねつねつした事
はらいたみ 頭割にされて
はらくだし 財布の下痢
はしたがね 悪く云ば目腐金
はさみがみ 御幣の類
はれやまひ たまた肥れば
はなのした 八寸
※はくしよい 呆れた事云ふ
はくしよい 嚔を真似て愚弄すること
はけつひで 別段手間はかゝらぬ
はしござけ 一升二升三升四升五升
はなつまみ 臭気紛々、いやな奴
はちじひげ 従八位勲八等月給八円
はんぷうし 乞食の金平糖
はなぐすり 口止薬にもなる
はなたらし 二本松
はゞかたり 浄瑠璃の白湯汲
ばシヤうま 八々憲法中の語、又脇見せず、偏見
ばけのかは 剝げやすき皮
ばくちうち 刑事巡査と懇意
はめはづす 恐悦至極
はーほうー 火事見物の掛声(大阪)
はしたもの 下女、奴僕
はんかつう 生物識
※はさみばこ 首へ出る大腫物(おほできもの)
はさみばこ 頰の腫物
ばうずもち 道中の一興
ばちあたり 碌な事はない
はさみうち 両方から、嬲(なぶる)
はとぽツぽ 豆くはす
はきちがひ 料見ちがひ、誤見
※はじけまめ 但し生(なま)なり
※はめはづす 恐悦至極
※はーほうー 火事見物の掛声(大阪)
※はしたもの 下女、奴僕
※はんかつう 生物識
※はさみばこ 頰の腫物
※ばうずもち 道中の一興
※ばちあたり 碌な事はない
はぶりがよい 飛ぶ鳥も落る
はツちやんこ 麦粉
はたのみるめ 憫れなり
はんにやたう 寺の酒
はりこのとら 首は動けど腸が無い
はちざゑもん 女の月経(陸奥語)
※はがきだより 記者の偽作が多い
はいきんしう 拝金宗、南無かねだ仏
はねをのばす 余所へ切入ること
はりのむしろ 座つては居れぬ
※はいろうさん 詐欺師野口茂平の売薬
はうづがない 無茶
※はさみとのり 編輯局の必要品
はさみとのり 編輯局の必需品
はだみゆるす 和姦
はだかをどり 腰巻一つ……
ばうずだまし て還俗させて
ばつがわるい 不調節
はぢのうはぬり ぬりあぐれば鉄面の如し
はおりごろつき 新聞屋のユスリ者
はツけいよいや 残つたに不服あり
はんきんばらひ 破れ褌の姿
はなしはんぶん に聞け、半紙半分に切れ
※はやのかんぺい 三十になるやならず
※はものほねきり 関西の名物
はだしでにげる 是は叶はぬと
はなげをのばす 数までよまれる
はらだちまぎれ ツイ手が出て
はなよりだんご 花はくへないから
はツパウびじん 主義の一
はしまめをとこ 油断がならぬ
ばんどうたらう 利根川氏
はこいりむすめ 虫のつくもの
はなもちがならぬ 臭気紛々
ばんちやもでばな 鬼も十八
ばうずまるまうけ 茶屋で丸遊び
はらのかはをよる 臍で茶も沸す
はなからてうちん 白張か青張
はだかでだうちう がどうなるものか
はれものにさわる ソロリと
はんしようどろぼう 長身者
はちじふのてならひ 七十三ツ子が
※はんしようどろぼう 長身者(せいたか)
はなくそまんきんたん 売薬部外
※ばんたらうのにツけい 赤い帯
はいふきからじやがでる 瓢箪から駒
※はなでフンちうしんぐら 駄洒落文句
ばかにつけるくすりなし 安本丹は如何
はしにもぼうにもかゝらぬ 縄にかゝる
はりのあなからてんのぞく テンとあかぬ
ばくちうちのうはまへどり 刑事巡査
はしりうまがくそをたれるやう 下手な三味線
はやおきはさんもんのとくあり 一ヶ月に九銭
はながみたけりやよしのへござれ 春の中ばに
※はツちばうずがこめこぼしたやう ブツブツ小言
ばツきんどころかちやう江きぢや オ丶畏オ丶畏


     

にごり 泥水、曖昧な言葉
にしめ 煮付菜、垢つき着物
にえる 相談の整ふ事
※にはん 二判、野口茂平の判
にはか 茶番狂言
にがて 気にくはぬ相手
にせもの 本家本元本人らしく
にげみち 遁辞、法律もぐり穴
にげあし そろそろ支度して
にげだす 尻に帆をかけて
にやにや 気味のわるい笑ひ様
にふだう 坊主
にのまひ よくない真似
にーさん 兄上、又田舎者を呼ぶ語
にぎりや 吝嗇家、ケチ野郎
にほはす ユスリ文句
にぎりべ 下等人の悪戯
にこづく 莞爾、棚の蛭子様
にわうだち サー来いの姿
にくげなし 骸骨
にげことば 卑怯者の口上
にくぶとん 異性と同衾
にじりよる そろそろ傍へ
によろによろ と現れ出
にんじやう 鬼の目にも涙
にやんにやん 猫、おしやます
※にんぴにん 野口茂平
※にくにくし 野口茂平
※にくたらし 野口茂平
にくたらし 憎々し
にがわらひ 苦笑
にらみあひ 敵視同士、相場の上下なし
※にぎりめし 弁当、与一兵衛の財布
※にぎりこぶし 拳骨
にらみつける ウヌは不届な奴と
※にうりおでん 立食の蒟蒻
にやけすがた 反吐の出る様
にきびをとこ そばかす女の対
にんげんなみ 普通
にこにこがほ 一人者がお菜(かず)を貰うた様
にがみばしり 男らしい男の顔付
※にたりにのたり 是は四たり
にツぽんいち 滑稽新聞
にツぽんばれ 青天白日
によごのしま 南風を受けて孕む女島
にはかしんし 一攫万金の悪者
にゆツとでる 雨後の筍
にんぎやうくひ 顔の美(よ)い女を好く野郎
※にろくしんぱう 東京のユスリ新聞
※にひやくとをか 暴風雨の日
にせのやくそく 二世は偽(にせ)なり
にぎりきんたま なま毛物
にえくりかへる 大騒動、議論囂々
にたものふうふ 煮たものをフーフと吹く事
にげこうじやう 遁(にげ)言葉に同じ
にいちてんさく 二つ割にする事
にのあしをふむ あとしさり
にはかしんだい 詐欺師の安楽
にんみてはふとけ 小乗教
にんぎやうしばゐ 後に操人のある事
にほんぼうたらし のろ助
※にんめんじうしん 野蜘蛛は人面虫心
にかいからめぐすり 効能なし
にしんでおちやづけ 松前殿様
にじふござのざがしら 醜い面付
にようばうをしちにおく 朝酒を飲むために
にくまれごよにはびこる 滑稽記者の名声
にてもやいてもくへぬやつ 野蜘蛛の類
にんじんのんでくびくゝる たわけの骨頂
にツむちんもさツちんもゆかぬ 一文なしで
にげたなまづはおほきくみへる 人欲
にじふくぢやものはなぢやもの 三十振袖
につくわうをみぬうちはけつこうといへぬ と


     

※ほら 驚く勿れ煙草税金タツタ四百万円
ほら 東洋第一大新聞の類
ぽち 祝儀、謝儀
ぼり 貪り商人
ぼけ 阿房、頓馬
ぼさ 下婢(上方語)
ぼて 腹、妊娠、紙張子
ほと 陰門(古事記にもあり)
ほまち 臨時収入の一
ほだく ふざける事(大阪語)
ほんて 正式
ほべた 頰べた、押附合ふもの
ほいと 乞食(九州語)
ぽかん 何様と呼ばれて返辞すれば
ぼんち 金持の若旦那
ぼやく 不平を鳴らすこと
ほじくる 権兵衛が種蒔きや鴉が
ほりかは 罪人の別荘
ほころび 破綻、内のボロ綿が見へる
ほことん 矛盾(大学者議員の発明語)
ほツとけ 捨てとけ
ほツこり 蒸立の薩摩薯(大阪語)
ほうらく 湯屋開業当日(同)
ほくほく 喜ぶ
ほーばる 大口を開けて食ふ
ぼかぼん スカタン(台湾語)
ぽんぽん 寒さうに、又子供の裸
ぼろくち 大儲けの口
ぼうふら 当世蚊士となる
ぼろくそ 一文の値打も無い
ぼんやり 空漠、馬鹿
ぽんこつ 拳固
※ぼてれん 毎月丸服用
ぼてれん 妊娠
ほのめかす ユスリ文句
ほねがらみ 死でも離れん
ほてゝんご 悪戯
ぼツたくり 収賄、ユスリ
ぼろツかひ 何様(どのやう)な女でも
ぼろをだす 内幕曝露
ぼいまくる 彼方此方へ
ほろりほろり 涙を
ほてツぱら 風穴の開く所
ほれたよくめ 菊石も笑窪
ぼくねんじん 役にたゝぬ奴
ほのじにれのじ 「ほれ」ました
ほぞをかためる シツカリする事
ぼうさきをきる 曖昧の儲け
ほーあか○○くさ 臭気紅頰妻とも云ふ
※ほそくないやつ 細く無い奴とは即ち図太い奴と云ふことである詐欺師野口茂平は渾名を野蜘蛛と呼ばれて居る詐欺師の大関である田舎の肺病患者を餌にして居る詐欺師の親分である、細く無い奴である
ほそくないやつ 図太い野郎
ほとけのかほもさんど 閻魔は一度で
ぼんぶのつゝをはらふ 小便する事
ほうこうにんこんじやう 横着
ほんまちいとやのむすめ 姉と弟
ほとけつくツてまなこいれず 不完
ほねをりぞんのくたびれまうけ 商売にはならぬ
ほとけのくそをおちやたうでねツたやう 可も無く不可も無いと云ふ意の俚諺
ほツけばうずがあなぐらでしめころされるやう 謡の下手な聞苦しい音調の者を罵る言葉


    

へい 左様でござりますか
へた しくじりを茄子
へま へたまぬけ、すかたん
へこ 褌、多くは九州にて云ふ語
へど 小間物屋、八百屋、又雑貨店の開業
べー べかツこ
へぼ ざる碁打、力士雲見山など
ぺけ 日本ぺけあります
べゝ 小児の着物、陰門(東北語)
べそ 泣すゝりを云ふ
へこむ モー降参です
※への○ 親の厄介者
ぺてん ハツタリ、詐欺の類
ぺろり 赤い舌を、牡丹餅を
※べツた 翫具の一
へげたれ 役に立たぬ奴
へらへら 赤い手拭を冠ツて踊る
へまむし 入道、文字画
へそのを 親子兄弟名乗合の必用品
へこたれ 褌垂、挫折
へうきん 言語又は面貌の奇異
へたばる 平伏、座する、腰を抜かす
へこます 閉口させる
へりくつ 屁の様な理論
へツぽこ 平凡野郎
へゞれけ 酔ぱらい
へんてこ 此奴は何だか
※へなつち 阪井久良伎氏の著書
ぺいぺい 馬の脚役者
ぺらさつ 紙幣、福のかみ
べくない 奴
べろべろ 顔を洗ふ音
べんけい 正物と影物あり、又野幇間
べたべた 白粉を塗つて男の側へべたべた
※べにかん 八人芸の乞食
へらずぐち 負惜みの贅言
へらおかし 滑稽記者の定り文句
へそのした 出身の門
へなちヨこ 罵言
へいけがに 海中横行
べんちやら 云ひなはる
べらぼうめ べらんめーとも
へちまやらう 人の足の下につく者
※へまにふだう 滑稽新聞の特別寄稿家
※へうろくだま 大阪郵便電信局の役人
へうろくだま やくたゝず
へりふんだり 酒席遊戯の一種
へそくりがね 虎の子、人が見たら蛙
へちものくひ 好奇家
へのへのもへ 詐欺師茂平の兄弟
※へるものでなひ 何であらう
へるものでなひ 遣ふても
へそのやどがへ 茶を沸して後に
へたのよこずき 歌や碁将棋
へいさらばさら 鮓答、印度の獣
へツぴりおとこ 平賀源内先生の材料
へたのかんがへ 休むに似たり
へうたんからこま 灰吹から蛇
へたのながだんぎ 高座のさまたげ
へそでちやをわかす おかしくて
へいきのへいざゑもん 厚顔、鉄面皮
へのつつぱりにもならぬ 踵にも劣る
へをひつてしりをすぼめる 転んで後の杖
※へいきのへいざゑもん 詐欺師茂平 世間から詐欺師と云はれても構はなひ金さへ儲ければよいと平気の平左衛門で居るのは此図太さ詐欺師茂平である


   と

とゝ 小供の云ふ肴
どら 放蕩、道楽の約語
どん 十二時、居候の待遠き時刻
どぢ 間抜の一名
としま 昔しの処女
とんと あきまへん
とのご うちの人、旦那はん
とんび 周旋屋、ブローカー
とんま とんと間抜ばかり
どいつ 誰奴、どやつとも云ふ
どなる ヤイ、こら
どだい どもなりまへん
どやす 打ちのめす事
どうれ 頼まうの対
とばゑ 鳥羽僧正の狂画
とちめん 無様の顔
とらのこ 貯金、人が見たら蛙になる
とぼける シラをきるとも云ふ
とちゝん 栃木鎮台田中正造
とらかす とろける奴を
※とりこみ ユスリ刑事や野口茂平
とりこみ ボツタクリ
とつたり デモ役者
どめくら 俗吏の無学
どつさり どしどしと沢山
どんじり 終り、しまい、けつ
※どろばう 盗人、刑事巡査と懇意な奴
どろぼう 盗人
どしうち 同士打、仲間喧嘩
どんたく 休日、腰弁どん在宅
とばしり 近所迷惑
とろくさい お寺の移転
ともしらが 偕老同穴、お前百迄
とんだこと お気の毒見た様な事
とばくぜい 賭博税の収入役はユスリ刑事
とつちやん 親馬鹿、菊池幽芳
※どぶさらへ 俗吏の根性
どぶさらへ 土根性
とうざいや 広告業
どざゑもん 溺死者
どてつぱら 窓の開くもの
どうでげす 如何様(いかゞさま)
どろんけん 図部六、泥酔
どんちやう 下手役者の劇場
どぶろくや 白馬会の創立所
といちはいち 女同士の淫事
とゞのつまり 泣別れ
とことんやれ とんやれとんやれ
とんちんかん 鍛冶屋の調子、ぐれはま
とんぼがへり 水泳者又は軽業師の芸
とこなんだい 是は難題
とつちりとん 端唄の一種、開祖は扇歌
どーするれん 女義太夫の肩入れ
とへうまくら 平凡力士
※どこんじやう 俗吏の腐れ腸
※どろつくどん 天王様は囃しがお好
どんがらがん 今はどんどん
どんぐりまなこ 鳩が豆鉄砲食ふた
とつたかみたか 一かバチか
とりたてのさる 酒に酔ふた顔色
とびがたかうむ 賤家の豪傑
※どびんのいかけ 夫婦同行(大阪語)
どびんのいかけ 夫婦同行、略していかけと云ふ
どるばこだんな 淫売芸妓のデレ客
どびやくしやう 田印
どろみづそだち 蓮葉女
とんぼにサの字 キザ、ハイカラー男
とうふにかすがひ 糠に釘
としよりのひやみづ 不似合
とばゑのだくらう 剽軽な面付
※とはうとてつもなひ 俗吏の陋劣手段
とはうとてつもなひ 無暗滅法
とふはたうざのはぢ 問はぬは末代の恥
とうだいもとくらし 目で目は見へぬ
どこをかぜがふくか 余所を尋ねて御覧なさい
どくゝはゞさらまで 破れかぶれ
どんぐりのせくらべ 衆議院議員
とりなきさとのかうもり 独り威張
とかくうきよはいろとさけ とめてとまらぬ
とりもちをけにあしつつこんだ 抜差ならぬ


   ち

ちぼ スリ
ぢか すぐさま
ぢゞ 老爺
ぢごく 淫売婦
ちやん 父様
ちくり 少しばかり、ちよびつと
ちやり 喜劇
ちんぼ 小児の陰茎
ちよぼ 芝居の地方
ちんころ 犬の子
ちんちん 嫉妬、やきもち
ちやんころ 銭の別名
※ちまつり 野口茂平の梟首
ちまつり 犠牲
ちぐはぐ 揃はぬ物
ちーはー 支那の賭博
ちやびん 禿頭
ぢまはり 遊廓の素見常客(ひやかしきやく)
ちつぽけ 小き事
ちんづき 一升二銭
ちやうす 茶をひきて粉にする臼
ちんまり 小じんまり
ぢきさん 政友会のハイカラー
ぢんどり 場所を占領する事
ちやのこ 親知らず
ちのいけ 地獄の名所
ぢたばた あせる、あがく
ちやばん 狂言
ちうごらう 鼠
ぢやらぢやら 云ひなはんな
ちよんのま 四畳半
ちよんまげ 結髪
ちよぼいち 樗蒲一(賭博)
※ちゆうりつ 曖昧者
ちわぐるひ 若夫婦又は浮気娘
ちのなみだ 志士の憤慨
ちやんぽん 混合
ちやんちやん 支那人
ちよかすけ 軽率者
ちよんきな ちよんちよんきなきな
ちゝくさい 青二才
ちどりあし 左に一歩右に一歩
ちやにする 馬鹿にする事
ちやくぶく 横着者の常手段
ぢごくみゝ 聞けば忘れぬ事
ちやうはん 丁と半、一六勝負
※ちよんちよん 樹の根の枕
ぢぢむさい シミツタレ
ちんがくさめ 醜貌の一
ちらりほらり 彼方にも此方にも
ちゝくりあひ 野合
ちんちろりん 伊勢の勘太郎さん
ちやわんざけ ヤケと出かけて
ちりてつとん いつしか花も
ぢだんだふむ 怒りて足ずりする事
ぢりぢりまひ 貧乏人の節季
ちんちくりん 五一会員
ぢんがされん 政友会の下廻り人足
ちやらツぽこ 嘘、法螺
ぢぐちあんどう 按摩に杖ない
ちやらをかしい ちやんちやら
ちようりんばう 北国の穢多
ちやうちんもち 紹介
ちでちをあらふ 親族の喧嘩
ぢゆうばこやうじ こせつき、吝ん坊
ちやのみともだち 老人の連添
※ちくしやうやらう 野口茂平
ちくしやうやらう 人面獣心
ぢんかうもたかず 屁もへらず
ちやちやらかちやん すちやらかちやん
ぢがねがあらはれる お里の曝露
ちやうちんにつりがね つり合はぬ
ぢごくのさたもかねしだい 極楽遊びも亦


   

りきむ 力を入る、威張る
りんき 焼餅とも云ふ
※りにかつ 非におちる
りはもとにあり 商界の格言
りやうたうつかひ 酒も餅も
※りうゐんがさがる 滑稽新聞の記事
りうゐんがさがる イヽ気味だ
りちぎものゝこたくさん 浮気者に子なし
りんびやうやみのせうべん チヨビチヨビ
りやうはうたてればみがたゝぬ 困つたワイ
りかりかうんとこどツこいシヨ 雨が降ツても
※りふじん 詐欺をして金を儲けるのは
※りんてき 彼奴(きやつ)はヒドイ吝的であるそうな


   

ぬし 良人(いゝひと)、又山や沼の主
ぬえ 鵺人物と云ふ者近来多くあり
※ぬきみ アブナイアブナイ罰金……所か懲役ぢや
ぬきみ アブナイアブナイ
ぬくい 懐中(ふところ)が、懐炉代用に焼薯
ぬのこ 質に置て初松魚(かつを)とは江戸ツ子
ぬるい 手ぬるい過激にやらぬと
ぬれぎぬ 覚への無い事、晴天を待て乾す
ぬけあな 詐欺広告の常手段
ぬけもの 豪傑、又不正品
ぬめたこ なまくら(大阪語)
ぬけろじ 附馬の迷途
ぬけさく 呆助(はうすけ)の兄弟分
ぬーぼー 新美術画
ぬたくる 蚯蚓の行列
ぬらくら なまくらの隣
ぬれごと シカモ水も漏さぬとか
ぬけがけ 不意の出陣
※ぬかにくぎ 野蜘蛛に筆剣
ぬかにくぎ 豆腐にカスガイ
ぬけまゐり 伊勢行
ぬかぶくろ 美人入浴七道具の内
ぬけめなし 悪い事にかけては、ユスリ屋
ぬすみぐひ 意地きたない奴
ぬすりあひ なすりあひの訛
ぬれねづみ 一匹五銭、月給十円
ぬかみそじる 倹約
ぬれてゞあは 素手で金
ぬかよろこび 昇給するなり免の字
ぬすとのひるね 野心政治家の閑散
ぬりこべつたー 垢切さーに引掛り(奥州白石語)
ぬきさしならぬ 鳥黐桶に足突込んで
※ぬすとこんじやう 野口茂平
ぬすとこんじやう 盗心
ぬかぬたちのかうみやう 風靡
ぬすとゝらへへてなはをなふ 不用意の誡
ぬれぬさきこそつゆをもいとへ 破れかぶれ
※ぬの部の辞林は如何に考へても是れより外にはぬとつく面白い辞はありませぬ、然し情歌(よしこの)ならぬしに惚るの権利があれば真尽すの義務もあるぬしが金性で妾(わたし)が木性云々などぬしと云ふ辞なら沢山あり升がぬ○七と云ふやうなことや又はぬり枕二つに屛風など云ふ事はぬの字のつく辞に相違ありませぬが風俗壊乱になります此外にぬ何と云ふ事は無い様に思はれます若し編者のぬかりで落ちて居るのが沢山あるやも知れませぬが思ひ出さぬ事はドーにも仕方がありませぬ


   

るー 家鴨の略称
るすごと 居候の仕事
るーでさツく 頼まれ物
るゐをもツてあつまる ユスリ屋はユスリ屋と
※るゐなし アンナ図太い詐欺師は外に
※るゐやく 新発明の神理丸は胃酸の


   

をかし ヘラ又はチヤンチヤラ
をかべ 豆腐の事
をとり 看版娘
をはせ 男の隠し物(やまと古語)
をぢごく 河原乞食
をかやき 局外のチンチン
をしどり 仲の好い夫婦
をんなずき 伊藤博文の類
をかツぴき 犬、大阪では猿
をりがみつき 正真物と云ふ事
をがみたふし 祭り上げて絞る事
をとこだまし 軽薄女
をどりこじる 鰌汁を云ふ
ををふるいぬ は打たれぬ(諺)
をなごたらし ニヤケ男
をれてまがる 元値以上の利益
をかしなやつ 変てこ人
をごりたまへ 附け込み
をごるへいけ 久しからず
をとこまさり 女丈夫
をとこめかけ 意気地無し野郎
をとゝひおいで ベカツコー、尻食らへ
をかみはちもく 局外者の明敏
をひれをつける 嘘を加へる事
をだはらちやうちん ブラブラ
をりすけこんじやう 土根性の一種
をんなのくさツたやうな 男
をとこのこゝろとあきのそら 変り易い
※をこがまし 詐欺師茂平の広告文句 あきれ果た悪漢である、見給へ其面構を


   

わ 鶏肉(かしわの略)
わい 下司言葉の我
わや 滅茶苦茶(上方語)
わし 拙者、此方、(私)
わちき わてい、わたい
わじるし 春画、笑本
わにぐち 大きな口
わりまへ 頭から割つけられる一人前
わんぱく いたづら少年
※われもの 妙齢の人、破瓜
われがね 四天王寺大梵鐘
わさわさ 落ちつかぬ事
わんわん 犬
わるくち 罵言、誹謗
わらばい 我輩の洒落
わツさり 淡泊
わにかは あばた、痘痕
わにあし 外足
わうじやう ギユーの音も出ぬ
ねすれもの お茶代
わからずや 無智、頑固
わたりもの 新聞記者又は職工
わりかます 小売酒屋の秘密
わすれるな 覚へて居ろ(脅喝語)
わたりにふね 仕合
わたくしもの チヨロマカシ品
わうてびしや あたまかく
わなにかゝる 詐欺師に騙されて
わいわいれん 蛆虫共、野次馬
わりにあはぬ ポカボン
わけがちがふ 世間の奴等とは
わるごすこい 狡猾、横着
わがものがほ 無断転載、剽窃、焼直
わたるせかい 鬼あり
わせいハイカラ 粗末な洋奴
わらにんぎやう 役に立たぬ奴
わらふてそんする 箔屋さん
わがたにみづをひく 自分勝手
われなべにとぢぶた 下等夫婦
わらじがけでたづねる 珍しい事
われがねのやうなこゑ グワングワン
わらふてそんしたやう 苦い顔
わがくびになはをかける 自ら作る罪
わらふかどにはふくきたる 滑稽好きの徳
わらでつくツてもをとこは 真男子の気張語
わがみをつねツてひとのいたさをしれ 良訓戒
※わるいやつ 詐欺師野蜘蛛、肺労散発売者


   

※かり 返すべきもの、亀の頭
※かつら 値打の無い太郎坊
かやつ 彼奴(かのやつ)の約
からす 手習双紙の屑、四貫役
かさけ 色気と共にあるもの
かすり かすかの利
かゝあ 山の神の本名
かたり ユスリの兄弟分
かりかり 雨が降ツても
かしなん 痘痕、汗の休息所
からくり 手段の一種
かヘだま 本物の偽代理
かたまり 腹にかたまり、又法華かたまり
かツこむ さぶさぶと、又さらへ込むこと
※かうぢよ 孝行女子、偽物あり
かたがき 脅喝取財罪重禁錮一年
かけおち 二十日あまりで四十両
かけとり 月給とりの敵
かはらけ 御神燈の油皿
がりざう 我利我利の欲造
※かみがた 贅六の出生地
かきいろ お仕着せの色合
かぼちや 今年もやはり当り年
かひぐひ 三食の外
からけつ 一文も無い事
かいろかいろ はそりや嘘だんべ
かぶりふる 竪にふると横にふるの二様あり
かひごろし 一家にも一国にもあり
かこひもの 下女と猫の三人暮し
※かほよごし 大阪市民の顔汚しは野口茂平
※かやのそと お前を待ち待ち
※かもの△△ 親族の珍々鴨
かべにみゝ あり障子に穴あり
かツぱのへ 泡になつて流れるもの
かくしぐひ 旨いもの
かたゞより 気のもめる音信
かしはもち 一枚蒲団で寝る状
※かいりやう 元の通りのこと
※かんしやく 滑稽記者の持病
かさのだい 首の事
かたおもひ 鮑の本性
かくしどこ 人に見せられない物
がらんどう からけつの別名
※かようちどり 恋のため淡路島へ
かゆひところ 手の届かぬもの
※かゝさんのな おゆみと申します
かなぼうひき 井戸端会議員
かはらこじき 演芸美術家の別名
かべそしよう 相手の居ない喧嘩
がうつくばり 早く死ねば好い奴
かへりがない 廓(さと)言葉のいき
かうまんちき 小面憎いもの
かツたいばう 梅毒患者を羨む病人
かなくぎりう 娼妓の無心状
かあいそうだ 白歯で妊娠
※かいさんかぜ 今年は吹きそうに無い
かいさんかぜ 議場に吹込む風
※かうしやくし 見て来たやうな嘘をつく奴
※かあいおかた わしや生命まで
かけだしもの 初見参
かんぢやうづく 薄情者の仕打
かゝあざえもん 宿六の女房
かゝあかうかう 二十四孝外の孝行
かげまのうんこ 太いもの(古俗諺)
かんじんかなめ 扇の的
かくごはよいか 南無阿弥陀仏
※からかさまくら 天満橋の乞食
かたはらいたし ヘラ可笑い時
※かねがはとけい 真鍮の金(かね)にて製す
※かうこいらんかナ 大阪の香物売
かんしやくだま 無形の破裂物
がりがりまうじや 野蜘蛛の類
からすのなきごゑ あほうあほう
かへるのつらにみづ いけ洒蛙洒蛙
かへるのこはかへる ハツタリの子分はハツタリ
かるときのぢざうがほ 返す時の閻魔顔の対


   

よか よろとも云ふ、又よかチヨロ
よー よーと云ツたらよー
よつ 四ツ足、犬、穢多と云ふ事
よくめ 惚れた欲目の類
よばひ 星の一種
よこね 黴毒、踏み出す病
よがり 嬉しがり、愉快がり
よたか 密売婦、京では辻君
よさり 夜(大阪語)
よしこの 情歌、都々一、二十六文字
よこみち 邪道、ユスリ、賄賂取、詐欺
よわむし 一名は臆病虫
よばれる 御馳走になる事
よそゆき とツとき、言葉にもあり
よろづや 何でも屋
よこどり 旦那などを
よわりめ たゝり目を加へる
よぼよぼ 老人
よろしい 花合せの役が出来た事
よくない 奴、悪い者
よひどれ 小間物店開業人
よツぽど 大きに
よいよい 泥酔者、腎虚人
よくのかは つツ張るもの
よめとほめ 傘の内
よたんばう よひどれに同じ
よこれんぼ 岡惚とも云ふ
よツちやん 菊池幽芳の鼻垂娘
よしなはれ 止(や)め給へ
よかんべー 宜しかろ(関東語)
よこぐるま 悪事
よがよなら こんな――はしまいに
よまいごと 囈語
よぎのすそ 厚い唇
よシヤがれ 芳兵衛の子になれ
よるのとぎ 妾、人偏に加はる
よだれたらし 女にノロイ奴
よさこいよさこい 昼では話にならぬ
よりをかける 腕に
よひにちらり 三日月さん
※よなべざいく 小供
よなべざいく 不完全な者多し
※よくにめがない 野口茂平の様な奴
よくにめがない 金に目をくれて
よひごしのかね 江戸ッ子は持たぬ
よこかみやぶり 無理な事
よりどりみどり 一銭九厘
よいあとはわるい お腹がボテ
ようじんにけがなし 又手柄もなし
よくいふてわるくいはれる 後家の髪
よどのかはせのみづぐるま 廻るもの
※よくないやつ 詐欺師野蜘蛛 肺労散発明家


   た

たこ 坊主、又
たま 半玉や一本になる代物
たか を括る、が知れて居る
だが 然しながら
だに 食付いて放れぬ奴
※たいか (大家)コケおどし
たぬき 幇間、又はズルイ奴
たゝむ 人を殺すこと
たらす 客や旦那を
※だぼら 東洋第一空前絶後の類
だぼら 針小棒大
たんと お金を持つて
だうけ 滑稽なる喜劇
だまれ 判検事の放言
だるま 淫売婦(東北語)
たいさん 沢山の事
たけのこ 庸医(やぶい)
たきのみ 五斗兵衛の類
たゞのり 薩摩の守
たらふく 腹一ぱい
たれぎだ 女浄瑠璃太夫
たれこむ 意気銷沈
※たんでん 臍下(さいか)
だんつく 旦那様
たまげる 魂魄の消失、吃驚
たはごと 戯言
たねとり 妻と合議の妾
たじるし 田舎者
たゝりめ 弱り目
※たいまい 十千万円
たまらん 快楽又は苦痛に堪えぬ事
たんたん 小児の入浴(関西語)
たけみつ 「本朝鍛冶考」の刀工
だきこむ 我方へ引入れる事
だしぬけ 唐突
※だいもく 南無妙法蓮華経
だいこく 坊主の妾
だじやれ 平凡戯言
だいなし 滅茶苦茶
たちぎき ケシカラヌ奴
たきつける 教唆
※たすけぶね 淫具の一
たんかきる ヘン
たちんばう 乞食
※たけたけし 野口茂平の根性
たけたけし 盗人の根性
たゝみざん 待夜の占易
たまてばこ 開けて口惜しき
たばこうり 怠惰者、又香川蓬洲屋
たまのこし 美人の乗物
たなおろし 残らずうちあける
たゞもんめ ロハ銭
たいこもち 座興芸人
たいしやう 親方
たかさごや 三々九度
たはけもの 足りない奴
たかまくら 天下泰平
たてにふる 横に振(すは)つた首を
たびのはぢ かき捨もの
だんなとり あや鶴の一種
だんごとり 賄賂とりの一種
たなのだるま をチヨイト下(おろ)し
だゞーがまー 父母(奥州白石語)
だゞをこねる 無理を云ふ事
たゝきのめす 打つ事
※たちがわるい 野口茂平の様な奴
たちがわるい 根性の悪い奴
たでくふむし 好々(すきずき)
たぬきねいり 空眠(そらね)
たれそれなし 共同便所、多淫者
たいこたゝく 幇助する事
たうへんぼく 唐の変人
たいへいらく ノンキ
だしにつかふ 利用する事
だてのうすぎ 華奢(けしや)者の服装(みなり)
だまくらかす 詐欺広告
だいじやうぶ 金の草鞋
だいだううす 大きなお尻
たどんにめはな 色黒き人
※たいないくゞり 相州江之島弁天
だいはおもどり 大人二銭、小供一銭
たていたにみづ 雄弁
たちわうじやう 衣川の弁慶
たんきはそんき 早まるまいぞ
※だいたんふてき 野口茂平の詐欺手段
たごのひもとほし 獅子鼻
※たうじんのねごと 不明語(わからぬこと)
たうじんのねごと チンプンカンプン
だいじおまヘんか コヽ開けても
たぬきのきんたま 八畳敷
だいこんやくしや 芸下手
たてばしやくやく 解語花(ものいふはな)
たからのもちぐさり 貞節の若後家
だいはせうをかねる お玉杓子は例外
だいぐわんじやうじゆ これさへあれば


  

れこ 是の逆さ
※れいのえんかん 滑稽新聞の特色
れんぎではらきる 血の涙
※れいじやう 偽物ばかり
※れうけんちがひ 詐欺で立身しやうとは


  そ

そち 其方と云ふこと
そつ 無駄
※そば 傍、信州信濃の名物
そら 来たドツコイ
そりみ 威張る姿勢
そうか 総嫁、娼妓の事
そぶり で知れる
そなた ばかりを夫と定め
そまる 朱に交れば赤く
そろり 新左衛門、偽物あり
※そツと 這入りこむ
そツと 這入りこむ盗人
ぞツと 寒気又は嫌気で体が
ぞめき 素見
そうだ 其通り
そちら 向かんせ
そツぱ 餅を見せるな
そらね 睡つた真似
そばめ 腰元女
そもじ うちのお前さん
そない に云ひなはんな
そでない 洋服ハイカラー
そツくび 詐欺師野口茂平の
そツくり 悉くの意
そではぎ 安達ケ原
をこのけ 三舎を避けしむ
そこぬけ 大浮れ又は量無し
それだま あぶない
そらごと 嘘
そばかす キメインチキでは落ちぬ
※そくせき 三味線枕
ぞツこん 首ツたけ
そろそろ 始める
そくそく 仕度をする
※そもそも 彼(あ)の一件は
※それがし 拙者
ぞんざい ダラシナイ事
ぞくゞん 敗ければ
※ぞんぶん 思ひのまゝ
※そこだて の氷
※そツぷがす 役に立たぬ人物
そらわらひ ヘヽヽ丶
そゝのかす 教唆
そでべうぶ 二枚折
そでのした 賄賂
そうだすか 本真だすか
そでまくり ユスリの類
そめかへし 二度の勤
そこもあり 蓋もある
そらなみだ 虚装の哀
そヽツかしい 軽卒の挙動
そうやさかい あゝやさかい
そこらあたり に茶屋あらば
※そろばんだま はじかれる物
※そらぞらしい 知らぬ顔の半兵衛
そらぞらしい 知らぬ顔の半兵衛、そらとぼけ
そこうごくな 間男見つけた
※そらとぼける 空々しいに同じ
そぎやんこと 其様な事(熊本語)
そばやのゆとう 口の出過ぎもの
※そでひきとめて どうでも今日は
※そうじやうばう 天狗の親方
そのてはくわな の焼蛤
そばづゑをくふ 近所の迷惑
※そでのふりあひ 他生の縁
そでゝもかくす 三月四月は
そこぎみがわるい あの面付は
そんしてとくとる 商略
そうりやうのじんろく 長男の馬鹿
そうみにちゑがまわりかね 大男
そうはとひやでおろさない 元が高い
そううまくはいかのきんたま です
そのてゞおしやかのだんごこねた そうだ


  

つら 面、身体の上部にさらすもの
つい 転び寝、不図の意
つて 縁故、就官に必要な事
つう 大通あり小通あり、或事に熟達
つけ 勘定書、大阪で云ふ書出
つがひ 下等動物の夫婦
つるむ 交尾、つがふとも云ふ
つわり 妊娠、やどりとも云ふ
つらい 勤めなど云ふ、心身の辛苦
つもり 当てにならぬ事
つねる 痛く無い様に
つぶし 役に立たぬ品物又は人物
つゝく 煽動する、探索する、当る
づなし 十三もん甲高の類
づるい 狡猜、横着、ゴマカス事
つまり 結局、身のつまり、又金の不融通
つまびき 柱にもたれて意気な端唄
つけこむ 甘い顔すると、弱そうなと
つれあひ 亭主又は女房
つけがけ 横着な書出し
つまらん 面白くない、新しい煙管
つッぱる 欲の皮が、又は初一念を通す
つのだつ 角が出る、腹も立つ
つらあて 意趣返し、これ見よがし
つけぶみ 恋愛の表示、細谷川の丸木橋
つじうら 河内瓢箪山の名物
つくねん 一人茫然
つよがり エラそうに
つびたり 女の隠所
つれない 無情
つられる 詐欺師にだまかされる事
つッこむ 一本やり込める事
づくにふ 木兎入道、坊主
つじぎみ 夜鷹
つかみどり 濡手で粟などを
つゝもたせ 美人局、夫婦(みやうと)馴合の詐欺
つきのもの 女につきのもの
つまゝれる 黒助稲荷などに
つらよごし 国家の、親族の、同業の
つんぼけん 間違つた返事
※つゝみがき 兵士が、船頭は港々で棹を研ぐ
つゝみがき 兵士が
つがもない らちも無いに同じ
つッかゝる 喧嘩を売る事
つまみぐひ イヂぎたない奴
※つらがまひ 憎々しは野口茂平
つらがまひ 憎々しい顔付
※つらのかは の厚いは野口茂平
つらのかは の厚い奴
※つまはじき されるは野口茂平
つまはじき される
※づうづうし 土根性は野口茂平
づうづうし 土根性
つちつかず 強い力士
つけやきば 剝げやすい物、又偽物
つかひこみ 無断拝借
つゝきあひ 両方から
つかまへる ユスリを
つらがしこ 生意気
つかまつる 致すこと
つんつるてん 壮褄の合はぬ短き着物
つぼみのはな 十二三歳の小娘
つじべんじよ 多淫女
つのつきあひ 喧嘩、又は交情(なか)のわるい妻妾
つんとすます りきむ、又余所を尋ねなさい
つるかめつるかめ フヽヽと吹くべし
つきものあり かしや
つんぼさじき 割込一人三銭
つのをはやす 心も鬼に
つはいせでもつ ヤートコセ
つきとすツぽん 大違ひ
つんぼのはやみゝ 生学者の知ツた風に同じ
つめにひをともす 頭が電気燈になつても
づるづるべツたり お客様のやうであつたのが
※つらをあらツてこい ユスリ刑事ヨ
つらをあらツてこい ねぼけて居るのだろー
つきよにかまをぬかる 不用心
つりあはぬはふえんのもと 似た者に限る
つきにむらくもはなにかぜ 好たお方に金が無


   

ねこ 淫売芸妓
ねる ふらんねる、綿ねる、抱てねる
ねー 東京人の語尾、又無いとの意
ねた 横道事を云ふ奴
ねべ 下賤(げす)の無意発作
ねぼけ 眼はキヨロキヨロ
ねかす 金を寝かす、小児を寝かす
ねぶる 甜(なめ)る
※ねだる ユスリ
ねだる ユスリ、強請
ねんね おやすみ
ねごと 夢中の発言
ねざま 見ともないかあるか
ねごみ 抜身をさげて
ねつい ヒツコイこと
ねびき 落籍(みうけ)、又減価
ねざけ 飲んで寝る
ねつけ お伴
ねとる 他(ひと)の情男(いろをとこ)を、又財産を
ねらふ 猫が鼠を、詐欺師が田舎者を
ねぎる チト高い様ぢやなー
ねぎま 葱に鮪の汁
ねぶと 梅毒の一種
ねこばゝ 拾ひ物は己の物
ねんぶつ 後生大事や金欲や
ねーさん 此方(こちら)向かんせ
ねめつけ 親爺に「られる」
ねたふり 狸寝入を云ふ
ねこそげ 悉皆
ねだやし 根を無くする
ねころぶ 何かの縁で
ねんあき 主のお側へ行ける時
ねてまて 果報は
※ねいぶつ 詐欺師野口茂平
ねがへり 破約
ねぢこむ 理屈を並べる為めに
ねとぼけ 隣りの部屋へ行つてコソコソ
ねりもの 山車、膏薬
ねんねこ 寝たら念仏
ねぶたい 御遠慮なくおやすみなさい
ねなまし 吉原娼妓が客に云ふ言葉
ねとまり 隣りの家に怪しい男が
ねこかぶり 狐の様な狡猜者
ねづみなき 嬉しいと見へる
ねりかへし 新作小説、富山の売薬
ねんのため それは御叮嚀に
ねいりばな 一向存じませんでした
ねせうべん 翌朝布団を背負ひます
ねずのばん 用心堅固
ねかしもの 売れ残り品
ねぢけもの 曲り根性
ねぼけやらう 間抜者を云ふ
ねこなでごゑ 軽薄なお世辞
※ねまきのまゝ で表へ飛出し
ねほりはほり 聞き質し
ねどひはどひ ウルサイ
ねみだれがみ 風俗壊乱の姿
ねばりづよい 根気のある人
ねかしつける 小児や泥酔者(よたんばう)を
ねみゝにみづ 驚くべし
ねものがたり 末は夫婦の約束など
ねぎりこぎり 吝ん坊の買物
※ねこにこばん 鼠は白銅
ねこにこばん ほしがらん
ねむけざまし 奇事珍話
ねこにやんにやん 鼠はちうちう
ねんがねんぢう 酒ばかり飲んで居る
※ねやのむつごと お安くない
ねずみさんよう 子が子を生む
ねんぐおさめる 悪者が懲役に行くこと
ねこにかみぶくろ 後しさり
ねくびちよんぎる 可哀想に
ねんだいきにのる 空前絶後の珍事
※ねにふしとらにおき 昔の規則
ねずみをとるねこはつめをかくす 悪者の温顔


  

なー 江戸ツ子の「ネー」
※なみ 人間並、馬並
なみ 人間並、馬並、鹿並
なす 返却する事、又こなす、けなす
なぞ 謎、人を迷はす言
なら 五ならは五十五、おならはヘヽヽヽ
なま 生、半若、金、無精者
なじみ 馴染女、馴染男
なはめ 捕縛される事
なまづ 高等官吏、公盗役人
なびく 風に柳、男に女
なさけ 情、売物なり
なまる 方言の一ツだす
なぐる 殴打、たゝきのめす
なぶる 女二人に男一人、又嬲
なぐれ それ、方向違ひ
ないしよ 秘密、内聞とも云ふ
なまいき 上方語の「面賢(つらがしこ)」
なけなし 一文も持たぬ、からけつ
なきむし 疳子(かんこ)、甘い病
なりもの 楽器、雷、屁
なつかし 恋愛哲学の神髄
なツとく 承諾
なゝつや 一六銀行、五二会館
なでぎり 伊藤侯の様な強い男
なまくら 竹光同様切れもせぬぶらぶら物
なりんぼ かツたいとも云ふ
なまくび 詐欺師野口茂平の獄門
なれあひ 悪党共、犯人替玉は刑事巡査と
なまゑひ 本性の違はぬ奴
なりきん 出世者、褌もぐり
なんだい 是れ難題、言掛り
なるほど ちぎる秋茄子
ながじり 箒に頰冠り、又
なすりつけ 横着者の仕打
なんでげす 下司言葉の一
ながだんぎ 高座の妨げ
なつのむし 飛んで火に入る
なれのはて 山、川、海の三千年後
ならずもの になる成下り者、ユスリ
※なりあがり 土佐の強盗が紳士
なりあがり 出来星紳士
なまごろし 罪な業
なゝころび 八起、三円五十銭
なしくづし 月賦返済
なさけない 無情、ひどい目
※なごりおし 別れがツライ
なきねいり 外に仕様の無い時
なまけもの 食ふては寝食ふては寝
なんしよく 一名「鶏の姦淫」
ながいもの には巻かれよ
なむあみだ 爺婆を捕へる網
※なきわかれ 人情の粋、失敗時
※なまけもの 食ふては寝食ふては寝
なかうどぐち 嘘つき
なゝつだうぐ 弁慶の所持品
なむさんばう シクジツタリ
なゝつさがり 羊羹色の羽織
なべぶたやま 平凡(へぼ)力士(取たら仰向)
なりかッこう みなりせーかッこう
なまものじり 自称学者
※なにはのあし 野口茂平の詐欺
なきじやうご 笑ひ上戸怒り上戸の対
※なんきんむし 一斗三厘で売ります
なまくさばうず 章魚入道、大谷光瑩の類
※なにくはぬかほ ユスリ刑事
なにくはぬかほ 知らぬ顔の半兵衛
なきづらにはち 弱り目に祟り目
なまひやうはふ 大怪我の基
なんぼなんでも あんまりヒドイ
なつのはまぐり みくさツてかひくさらん
なくてなゝくせ あれば四十八癖
なひそではふれぬ ハイカラーの洋服
なゆまらゐんいつでん 平賀源内の著書
なゝへのひざをやへにをり 九拝
ないてくらすもいツしやう 笑ふて暮すも一生
なさけはひとのためならず 偽るが人の為
※ないてうれしいよがあればこそ 笑て勤る憂座敷


  

ら 陰茎
られ 切られ、惚られ、してやられ
らく 興行物の閉場(千秋楽の略)
※らんぷ 禿あたま
らツぱ 嘘つき、法螺吹の転
らしい 真実らしい、本物らしい
※らくだ 夫婦連旅行
らんちき 大騒ぎ
らんちう 孕み女
※らふそくや 五人組
らふそくや ワカラン
らツぱのみ 徳利から直呑
らちもない くだらない事
らシヤめん 洋人の妾
らんぐひば 不揃の歯
らツきやう 剝いても剝いても皮ばかりの奴
らかんうつし 酒席遊戯の一
らりこツぱい 滅茶滅茶
らちがあかぬ 愚図愚図
らつがひける 美しい顔
※らくはくのたね 苦は楽の種
らいねんのこと 云へば鬼が笑ふ
らうじんはにどめのこども 三歳
※られる 肺病患者が彼奴(きやつ)に騙されて金を取
※らしい 彼奴の詐欺広告の文句はホンマ


   

むず 手に何も持たず
むじな 狡猾な人物
むすび 弁当の握り飯
むきず 正浄潔白、未通女
むごい 残酷な、哀れな
むしん 有心にねだる事
むすこ 親父と同年
むちや しなはる
むさい 汚い、穢らはしい
むほん 野心
むくむく 能く肥たる
むだぐち を云ふ
むすめし 倉破り
※むかつく 没書にされて
むかつく 胸がわるい時、又癪にさわる時
むくどり 田舎者
むだあし 不在(るす)つかはれて
むらむら 肝癪虫が
むしけん 三すくみの拳
むつごと 寝物語
むりどり ユスリ新聞屋、正式外
むさくろし 家ではござるがチトお立寄
むかツぱら むかつく腹
むてツぱう を放てば玉なし
むしがつく 生娘に
むかふみず みずはみづ
むにむさん に奮進
むしのいき 九死一生
むごたらし 悲惨
むこえらび 娘自慢で
むきになる 本気で怒ること
むぎめしくひ 懲役人
むちやくちや ヤケになつて
むてかちりう 塚原卜伝の術
むなざんよう 何が何ぼと
むすぶのかみ 出雲大社
むりしんぢう 死出の誘引(さそひ)
むかしかたぎ 天保親爺
むやみやたら と食ひ散らす
むこはちにん 娘一人に
むりさんだん 非常手段
むかしはむかし 今は今
むりわうじやう 押へ付けて
むゆかのあやめ 十日の菊
むしもころさぬかほ して心は鬼
むかふがしのくわじ 安心
むきみやのはんだい バカ(貝)に摺れて居る
むりがとほればだうりがひッこむ お邪魔様
むくろじはさんねんみがいてもしろくはならぬ と云ふ
むすめとすゐくわばたけはみはりにほねがをれる 西諺
※むさぼる 茂平の詐欺手段
※むく 垢なし、瑕なし、純粋
※むさい 汚い、穢らはしい
※むほん 野心
※むいち 深井志道軒
※むくむく 能く肥たる
※むツちり 充分、又むくむくに同じ
※むしのいき 九死一生
※むごたらし 悲惨
※むこえらび 娘自慢で
※むきになる 本気で怒ること
※むぎめしくひ 懲役人


  う

うぬ 其方の意
うぶ まだ物にならぬ物
※うじ ユスリやインチキは世間の蛆虫
うま 無銭遊興の翌朝つれて来る者
うはき 其日の出来ごゝろ
うろん 怪し気な
うのめ 鷹の目の対
うんこ 左りねぢの別名
うきな 流れやすいもの
※うらす 六貫役
※うんと 一声
※うけだす 板垣伯が率先
うけだす 落籍
うやむや 曖昧
うまうま だまされた、小児の食物
うんつく 阿房の別名
うしろで 手の長い奴
うすうす ほのかに、いさゝか
うるさい およしヨ
うつりか 女房が角をはやす香(にほひ)
うすぼけ 半馬鹿
うまらぬ 其様な事を云はれては、又借金が
うつかり がツかりの基
うすのろ 鼻下長の一種
うろつき 怪き者の立廻り、赤毛布の上京
うちつけ あらは、相違ないこと
うそつき 二枚舌、法螺吹
※うたひめ 風俗改良会員
※うツかり がツかりの基
※うつぷん 晴さずに置けぬもの
うんどう 菓子折をさげて行くこと
※うらだな 井戸端会議員の住所
うでづく 議論で叶はぬ時
うぬぼれ 黴毒気(かさけ)の兄弟
うんざり がツかり、いやになること
うだつき 酔ふて管を巻くこと
うはのそら 人の異見も、内を外なる
うさはらし 散歩、物見、間男の料見
うそのかは すぐ剥げる
うりことば 買ひ言葉
うみのもの 川のもの
うなされる 生霊か死霊か
うまのあし 下手役者
うちのひと 亭主のこと
うかれぶし あひもかわらぬ
うしろがみ 引かるゝもの
うらをかく 他人の計略又は法律の
うしをうま に乗りかへる
ういたういた サアササアサ
うちのめす たゝき付ること
うッちやる 棄てる、見放す
うみばうず 海霊
うぢやうぢや 彼方にも此方にも
うらかへす 表を内にすること、初会の次
うばざくら 老美人
うちをそと 放埒息子、浮気娘
※うんのつき 手の廻ツたユスリ記者
うんのつき 手の廻ツた悪人
うしろゆび アレガ野口茂平だすヨ
うれしいか 大星由良之助の口上
うけにいる 好運に向くこと
うれしがらせ 何でも買ふてやると
うんでれがん ヤツチキ呆助
うツつかツつ 互角、甲乙なし
うんぷてんぷ 一六勝負の類
うりざねがほ 昔流行の美人
うしろぐらひ 前も明るく無い
うつりかはり 無心いふ月
うじむしれん 糞喰へ野郎
うツてかはツて 此しうち
うまれかはツて おいでなさい
うかぶせもない 苦海の身
うどのたいぼく 総身に智慧の廻らぬ人
うそはツぴやく 東洋第一
うちまたかうやく 筒井順慶の発明薬
うんとこどツこい デレスケさん
うまれかはツておいで ベカツコー
※うめがえのてうづばち 叩いて見よ


  

ゐくび 首筋の短い人
ゐばる 安官吏、デモ紳
ゐつゞけ 流連荒亡
ゐのこり 行燈部屋に
ゐなかもの 田印
※ゐさふらふ 食客、しさふらふ
ゐさふらふ 食客、悪い事しさふらふ
ゐあひぬき 松井源水
ゐのしゝむしや 退却せぬ勇士
ゐはいにすまぬ 後家が浮気しては
ゐすはりだんぱん ドーシテ呉れるかと
ゐどばたくわいぎ 議題は人事
ゐざりのきんたま 摩(すれ)きツて居る奴
ゐもりのくろやき 惚れ薬
ゐなほりがうたう 臨時脅喝
ゐどほりこんじやう 下等な性根
ゐどのなかのかへる 世間知らず
※ゐなかものだまし 肺病には妙薬なしと自称しながら発見発明の奇薬ありと詐る茂平の悪事


  の

のび 窃盗、しのびこむの約
のせ 御馳走(大阪語)
のー なー、ねーに同じ
のら 浮浪
のす 打たゝくこと(四国語)
のる 賭博者の語
のろま 間抜、薄馬鹿
のぶし 山伏又は浪人
のめる すべる事
のりき 相談になりそうな
のろい 女に瞞着される事
のろけ 恋愛の公表、色情狂
のぞみ 花札の手入れ
のせる 欺くこと
のんし 某々地方人の語尻
のぞく 風呂屋の女湯を
のんき 心配無し、気楽者
のさん いけない、堪へぬ(熊本語)
のゝさま 神(小児の言葉)
のりにげ 無銭乗車、女郎屋の馬まき
のッペリ お平(ひら)の長芋
のけもの 除名者
のだいこ ヤー御気嫌様
のそのそ そろそろ出掛る事
のッぽー 長身(せいたか)、半鐘盗人とも云ふ
のたくる 拙筆の文字、蚯蚓の匍匐
のぎつね 心機一転などの野狐禅
のツとる 財産又は情夫を横領する事
のさばる 横柄、高慢
のすかひ 淫売婦(九州語)
のぼせる 男女に夢中となる事
のみすけ 大酒飲
のざらし 枯野に骸骨
のしこむ ユスリ強談に行く
のけさま 仰向様
のみこむ 合点する事
のけぞる 反身、エヘン
のりかへ 馴染の娼妓又は芸妓を変更する事
のんだくれ のみすけに同じ
のどぼとけ 食道地蔵
のたまはく 言ふたと言ふ戯言
のたれじに 行路死人
※のりとはさみ 滑稽新聞の欄目
のりとはさみ 他新聞の記事転載
のどをならす 欲がること
のんでかゝる 見下げて応対する事
のるかそるか 成功か失敗か
のみのふうふ 女房の大なる事
のツぺらぼー 金来々、金を持て来い
のしこしやま 楽書の一つ
※のこるけむり は癪の種
※のみのふうふ 女房の大なる事
のどもとしあん 浅薄の考へ
のみとりまなこ 目を丸くする事
※のがみさんせい 東京の詐欺師本名野上虎次郎
のんこのしやー 平気の平左
のみのきんたま 小き形容詞
※のこのこさいさい 夜来い夜来い
のれんにうでおし 押しごたへ無し
※のんだりくツたり 寝たり起たり
のらのせッくはたらき 平常はなまけ
のこりものにふくあり 売残りに三平二満(おたふく)あり
のみといへばつちまで 気をきかす事
※のうあるたかはつめをかくす 衒学者への鍼言
のちのひやくよりいまごじふ 早きを貴ぶ
のどもとすぐればあつさをわすれる 懲牲(こりしやう)無し
※の口茂平の詐欺売薬 肺病には西洋医者に妙薬なしと称する東洋の詐欺売薬屋、図太き悪漢なり


  

おい お前さん
おやま 桃に似た物
おなら 今日此処家(こゝのへ)に匂ひぬるもの
※おろす 毎日丸を服んで……つもり
おいど 臀の事
おやじ 怖い物の一つ
おさつ 女中の好く物
おほゝ あはゝ、えへゝ
おぼこ 未通女
おちめ 人が振向かぬ時のこと
おこし 亭主が巻込まれる物
おひや 水の事
おかめ 三平二満(おたふく)、お多福
おでこ 転んでも鼻を打たぬ顔
おいら 東京語の己等(おのれら)
おばけ 生体は枯尾花
おあし 出たり入ツたりする物
おでん 蒟蒻の煮込、又毒婦高橋
※おやだま 大阪詐欺師の親玉野口茂平
おやだま 隊長
おさらば 是にて御免を
※おどろく 勿驚の親玉も秋山の無法には
※おきまり 文句、滑稽新聞の延刊
おきまり いつもの通り
※おやぶん 好色侯はハイカラの親分
おやぶん かしら
おのろけ 昨夜キヤツがの類
おくれげ 意気なもの
おだてる 君に限るよ
おろシヤ 伊藤侯がおそろしやと云ふ国
おしうり 約束外の新聞投入お断
おヂヤん 終り、成功せぬ
おベツか 仰の通りで、ヘヽヽヒヽヽ
おてもと 拝見
おいおい おやじ殿
おてんば 鳩山夫人の類
おやおや 大変、と江戸子の肝潰
おきざり エヽ残念と口惜しがること
おまはん ばかりだよ
おてには 下手将棋の常文句
おはもじ ながら
おいぼれ 役に立たぬ人物
おでゝこ 安芝居
※おたんちん 罵言案内を見よ
おたんちん イヤナ奴
おしやべり 口八丁の人
おにがはら 醜女
おきヤアせ すかたらん名古屋語
おぼしめし 可成沢山と云ふ事
おせツかい 余計なお世話
おちやひき 売れ残り
おきヤがれ おきなはれの不穏語
おかげさま で助かります
おしなさい どうとも御勝手に
おいへはん 大阪語奥様のこと
※おくざしき 密会所
※おしなさい どうとも御勝手に
※おいへはん 大阪語奥様のこと
おてやわらか にお願ひ申し升と弱虫の言
おたがひさま 得手勝手なものなり
おもはせぶり 罪なもの
おはらいばこ 縁があつたら又お出
おひげのちり 払へば昇給請合
おほふろしき 大三輪長兵衛の所持品
おそくつのゑ 春画の事
おそれながら 申上ます
おんにきせる 御用商人に
※おほめしくひ 五郎八茶碗で十三ばい
おやすくない 合乗車
※おそばにゐたい と辛抱して
おぼへてゐろ 今に目に物見せてやる
おほかみれん 娘をとつて喰ふケダモノ
おにゝかなばう 白鬼に梅毒
おくびやうがみ 信徒多し
おあひにくさま 外にタツタ一人あります
おとゝひおいで 金があるなら今晩でも
おかひこぐるみ ぞろりぞろり
おにもじふはち 番茶も出花
おほやけのひみつ 当今の賄賂
おひらのながいも 食ふても旨くない物
おやまかちやんりん 蕎麦屋の風鈴
おやばかちやんりん よツちやんの自慢
おにのめにもなみだ 高利貸の義捐金
おにのるすにせんだく ツマリ命の洗濯
おほたこよりだいたこ が可愛い
おもひたつひがきちにちぢや 善は急げ
おてがなツたらてうしとさとれ ハイー
おふたこにおしへられてあさせをわたる と云ふ事あり


  

ぐれ 浮浪人、目的はずれ
ぐち になつたもお前ゆゑ
くやし 歯痒いこと
くどく 口にて説きつける
くめん 一六銀行へ駈付
くぜつ 怨言
ぐずる ユスリの事
くさもち 淫売婦(東北地方の語)
くツつき 男と女、花札
くすねる ちヨろまかす事
くらわす 拳固で二つ三つ
くたばる ごねる、死ぬ
※くせもの 野口茂平
くせもの 悪人
くらます あと白浪と
くひもの 美貌の娘
くもゆき 政海や市場のお天気
くるめる 緋縮緬の腰巻で
くれなゐ はなは
くちをし チヱ残念
くらがへ 娼妓のしかへ
くよくよ 川ばた柳どんどん
くすぐる 腋の下へ手を入れて
くそやけ 雪隠の火事
ぐれはま すかたん
くもみやま へぼ力士
くそたわけ 平賀源内の罵言
くはせもの 偽物、猫冠り
くだらない 事いふな
くひしんぼ 食意地の張つて居る奴
くへぬやつ 煮ても焼ても
くされえん お前と妾は
くびになる 解雇される事(遊廓語)
くびッたけ 惚てます
ぐわいこつ 外骨内肉の動物、亀
ぐるになる インチキ手段
ぐうたらべ ぐすたらの事
くひだふれ 着倒れと一対
くちぐるま 旨く乗せるもの
くれぐれも お諫め申した其時に
ぐんニヤリ 海鼠の様に
くちばかり 愛嬌のお世辞
くさいもの には蝿がたかる
くらひこむ 堀川行
くらうもの 海に千年山に千年
くびくゝり 塩鮭の進物
くもをつかむ 様な話
ぐでんぐでん 酔たん坊
ぐずぐずぬかす な
くびがまわらぬ ハイカラー
くりよりうまい 十三里
くろすけいなり につまゝれて
くらがりのはぢ 明るみへ出す
くもつくばかり 大男
※ぐうのねもでず 滑稽新聞の筆鋒に
ぐうのねもでず ギヤフンとまゐつて
くさッてもたひ 老ぼれても親爺
くりくりばうず けがない
くそでもくらへ コン畜生
くわんのんさま 半風子
くそだめのごいし 歯くその多い口
くさツたはまぐり 舌を出すこと
くりからもんもん 文身(いれずみ)
くらやみからうし 引ずり出す
くそぶねのたわし 大きなチヨン髷
くわんをけにあし 当年八十八歳
くさいものにふた 上官の隠蔽
くすりくそうばい 売薬の事
くわじばどろぼう 容易(たやす)く儲ける奴
くちにぜいはいらぬ 八町歩あツても
くさいものみしらず 蛆虫連
※くうくうじやくじやく 安閑坊
くわなのやきはまぐり 其手は
くちからさきにうまれる シヤベリ
くるしいときのかみだのみ 得手勝手の一つ
くわいちゆうにちようどけい 正午計


  

やい ベランメー気を付けろ
やり 浄瑠璃批難、香車
やつ 彼奴、レコ
やく 手を、手役場役、四十ニ
やア 今日は、大変だ
やし 下等山師
やぼ 粋の反対
やゝ 赤ん坊
やいと 灸、懲罰
やえん 刑事巡査
やまこ 山師とも云ふ
やたら 無性に
やツこ 蛸、豆腐、床屋小僧
やのじ 御覧の通り
やつし メカス事
やばい 危い(盗賊語)
やとな 大阪の三等芸妓
やほや 小間物屋の変名
やちまた 不得要領
やれやれ トコトン
やくわん 禿頭
やきもき しなはんな
やんちや 腕白
やじうま 火事場の見物人
やながは 骨抜き泥鰌
やじきだ 徒歩旅行者
やきもち 狐色にかぎる
やまだし 新参の田舎者
やくたい 無茶苦茶
やにこい 脆弱
やけくそ 焼野ヤン八の糞
やまかん 山師悪漢
やかまし 騒擾、厳格
やみじる 薩摩の名物
やりくり 質屋が褒める
やツぱり はヤツパリ
やすうり 十銭位、懸値の大見切
やどろく 山の神の亭主
やまのかみ 宿六の女房
やゝこしい 混雑、曖昧
やだいじん 一膳めし、居酒屋
やくざもの 廃物
やぶにらみ 筍で損した
やほちやう アンイリ相撲
やつあたり 近所迷惑
やーとこせ ヨーイヤナ
やせがまん 負け惜み
やるまいぞ 狂言の定文句
やなぎだる 狂句
やツつけろ 殺して仕舞へ
やくはらひ 悪物追払ひ
やぶいしや 坊主の下職
やけふこえて まぬけ
やツさもツさ 大喧嘩
やなぎにかぜ 受け流し
やすものかひ 銭失ひ、鼻落す
やまぶきいろ 黄金、大便
やまみづてんぐ 小児の丈字画
やみにてツぽう 向ふ見ず
やけいしにみづ 呑助に酒
やいてこにして 酒で飲む
やらずぼツたくり ユスリ、官吏の収賄
やかねばなほらぬ 盗人根性
やせうまにおもに 背負ひきれぬ
やまでらのおしやうさん 鞠は蹴たし鞠は無し
※やくかいもの 詐欺師野蜘蛛、肺労散発明家


  

まや 偽、ごまかし
まぶ 勤する身のうさはらし
まら 男陰、まらは伊勢まら(霊異記)
まん 運、仕合
ませ 早熟者
まぜ 西南の風
まめ 能く桛ぐ、又無事
まね 智恵なし野郎のすること
まゝ 飯、まゝ子
まく 金を蒔く、種を蒔く
まよけ 蟹甲面は疱瘡神の
まむし 鰻どんぶり(大阪語)
まいす 天王寺の糞坊主
まゝよ 三度笠横チヨに冠り
まんま と、首尾よく
またい おとなし、すなほ、にぶし
またび 姫御前のあられもない
まがひ 紛らはしき物、摸造品
まぬけ 詐欺広告に引掛る奴
まぐれ オヤお珍らしう
まとも 正直、真向
まして 況や
まげる 質に入れること
まかり 間違へば逃走
まちぼけ に逢はされる
まツぴら 御免蒙る
まごつく あはてる、当惑
まんびき 売店のスリ
またげい 股芸、淫売
まるのみ 消化(こなし)のわるい学問
まうろく 老衰、役に立たぬ
※まめまき 節分、女の開帳
まめまき 節分、開帳
まへだれ まつにこん
まろめる 旦那を、馬鹿を
まッしや 幇間
まだるい 手間どる
まがさす 一時の出来心
まんざら 気が無さそうでも無い
まシヤく に合はぬ、寸方
※まくらゑ 春画
まーまー 僕に一任したまへ
まるやき 十三里、又八里半
またぞろ 呆れたものだ
まゝごと して居る様とは夫婦の小世帯
まにあひ 其場のがれ
※まへのもの 男女の陰部
まへのもの 必要品
まるしだい 地獄の沙汰も博覧会も
まわしもの 間牒、内探者
まつりごと 内事
まからんや ワンプライスシヨツプ
またしても あんな事
まるはだか 神聖の極点
まけをしみ 減らず口
まわりもち 世の中は、お金は
まらばうず 志道軒無一
まんぢゆう おまんとも云ふ
まるまうけ 坊主の営業
まきなほし ビキが手八で
まむしゆび 腹痛癒しの指
まぜかへし 口の悪い人
まゝのかは 化の川の支流
まんなほし 一杯やりましよう
まんすらし 嘘吐き
まねきねこ またゝびたびお出
まじめくさる 詐欺師がえら相に
※まツさいちう 今がさかり
まッかなうそ 白々しい了簡で
まけるがかち 喧嘩は
まくらはづし 節分の売物
まくらさがし 宿屋の盗人
まやかしもの イカサマ品
まうしあげます ヘボ役者
※まかりつんでる 浪六の定文句
まゆげにつばき 騙されますぞ
まんねんしまだ 何歳(いつ)までも若い
※まづいものなし ひもじい時は
まんまんちやん 神様(小児の語)
またぐらかうやく 洞ヶ峠
まがツてまツすぐ 世路
まんごふまつだい 忘れぬ
まをとこみつけた 其処動くな
まがりこんじやう すねくれ者
まかぬたねははへぬ 資本必要
まなこつらのかざり 銀紙貼ツとけ
まわたでくびしめる ソロソロ責
まてばかんろのひより もあり
まめでツぱうくふたはと きよろきよろ面
まくらざうしのとのさま 色男
またすともまつみになるな チヨン良う云ふた
まりはけりたしまりはなし 坊主紙袋にヘシ込で
まるひたまごもきりやうでしかく 今は卅日に月


   

けち 吝嗇、しわい、しぶちん
げこ 餅や菓子を好く人
げろ 反吐、小間物店
けたい 怪体、わけの分らぬ
けだし 緋縮緬の腰巻
けこみ 吉原の下等女郎屋
※けむし 野口茂平の類
けむし 嫌はれ者
※けつろ 一方の遁路(にげみち)
※けいも 薩摩男
けぎれ 古筆、古刷毛
げだう 道に外れた言行
げツぷ おくび
げせぬ 一向合点がゆかぬ
※げいこ 浮れ女
けいせい 根城を傾ける女
けんつく 食ふて旨く無いもの
けなるい 相乗車
※けふかつ ユスリ、おどかし
げいしう 左り褄
けツさく くだらない当世小説
けれども 然しながら
けがれる 不浄物
けんのん 危い、二度とは御免
※けうじや 女を張る職人
けツたい な人やワ
けろりん 安閑坊
けだもの 人非人の奴、馬氏鹿氏
※けんさび わたいは今度の金曜日だワ
けうじや 女を張る職人
けむたい 内の親父は
※けんくわ 両成敗
※けいこく 絶世の美人
※げんくん 老耄の一名
げたはく 性の悪い下女
※げじげじ 是も野口茂平の類
げじげじ 好かれぬ奴
げんすけ ダメ、つまらぬ(大阪語)
げんこつ ア痛た
けんまく 威たけだか
けちんばう 吝な奴
けツたるい しんどい事
けたうじん 異国の動物
けふくなり 男子の陰物の古称
※けんしやう ハツタリ、詐欺の一種
けしばうず 嬰粟の実に似た頭
けしからぬ 不都合至極
けさうぶみ 恋愛文学の実地演習
けいづかひ 贓物故買、馬蹄銀購入の御用商人
げんじまめ 豆に白砂糖をかけたもの
けつくらへ 観音
けしかける やツつけろやツつけろ
※げツかをう 月下翁、結ぶの神
けいきゝう 尻軽女の異名
けんけんさま 狐
けゞんなかほ 怪幻な顔
けむくぢやら 毛の多いこと
けちをつける 縁起を悪くする
けんもほろゝ の挨拶
※けいろがはり 滑稽記者
けいろがはり 一種特別
げんがわるい 幸先の良く無い事
※げいしやかひ あぶく銭で
けたりふんだり の目にあはす
けツかうなひと 阿房、馬鹿正直
※けはへぬぐすり 片髯美人の商標
※けうげべつでん 色道の類
げツきんかたて サヽ法界
げたげたわらひ 馬鹿げた笑ひ
げんきんしゆぎ 大阪根性
けんじやうのかも 足袋ばかり立派
げめんによぼさつ 内心如夜叉
※げいだうしやうれい 其実はハツタリ
けいさつのごやつかい 改心せぬ奴
げんつけておくれやす 上ツて呉れとの事
けつのあなのせまいやつ 線香の様な糞をする
けをふいてきずをもとめる 藪蛇と同類
けさもしちやでほめられた 遣繰の上手な人
※けさのさむさにかへさりよか 主が……共難義


   

ふる 娼妓が客を嫌ふこと
ぶま 拍子の悪い、ぐれはま
ぶゞ 水
ふいご 聖人、無邪気な法螺吹
ふぬけ 間抜の兄弟
ぶんし ふんで飲(めし)を食ふやし
ぶらり 其処らあたりを散歩
ふじるし 不景気
ふだつき 娘、莫連者
ふくすけ 御承知の通り
ふところ 所持金
ふられる 果報者
※ふりちん 風俗壊乱、小児は格外
ふざける 男女の戯れ
ふくびき 貧乏籤を引く事もあり
ふたなり 両性の陰具ある者
ふみだい ノロの馬鹿旦那
ふるきず 旧悪
ぶらつく 浮浪、散策
ぶんどり 大盗人
ぶつける 投かけること
ぶさいく 出来のわるい仕事
ぶツそう 物騒がしい、油断ならぬ
ぶツつけ いきなり、すぐに
ぶつぶつ 小言を云ふ
ふぢむすめ 大津絵の一
ふたごころ 中ぶらりん
ふるくさい 新しくない物事
ふんじばる 捕縛
ふうかはり 奇異、変人
ふくのかみ 紙幣のかみを云ふ
ふちばなれ 免職、解雇
ふじびたひ お山さん
ふてくされ すねる、あばれる
ふくはうち 鬼は外
ふつかよひ 清心丹でものめ
ふくれづら 何か腹が立つと見へ
ふみたふし 借金や家賃を
ふところで 安気者、握り睾丸
ふみつける 人を軽蔑すること
※ふといやつ 詐欺師野口茂平
ふといやつ ほそくない奴
※ふるだぬき 詐欺師野口茂平
ふるだぬき ふるだぬき 狡猾者
※ふらちもの 詐欺師野口茂平
ふらちもの 図太い奴
ぶちこわし 破壊
ぶちのめす たゝきなぐる
ぶツたまげ 喫驚(びつくり)仰天
ふくろたゝき 四辺(ぐるり)から打のめす事
ふなさむらひ 世聞知らずの武士
※ふしぎくわん 別段不思議でも無い
ふるふんどし 晴雨計
ふなまんぢう 船中の淫売婦
ぶしやうもの なまけもの
ふんどしかつぎ 平凡力士
ふんべつさかり 三十になる
ふらふらやまひ 何となしの病気
ぶツちやうづら 羅漢の様
ふうせんむすめ 尻の軽い
ふためとみられぬ 一目でウンザリ
ふきやのばけもの 出たり入ツたり
ふけばとぶやうな 軽い人
ふうらいさんじん 七赤金性の肝癪男
ふたまただいこん は離れても
ぶんぶくちやがま 狸の正体
※ふうぞくくわいらん 官吏の賄賂取
ふところとさうだん 買ひましようか如何
ぶんこせをツたやう せむし
ふくろのなかのねずみ 生殺自在
※ふろやでみたよりおほきい 何が
ぶしはくはねどたかやうじ でもお腹が空ます
ふぎはおいへのごはツとう 長のお暇
ふうふげんくわいぬもくはぬ 新聞屋の食物
ふぐはくひたしいのちはおしゝ 何方になさる
※不景気 ふの材料が


   

こけ 馬鹿者、威喝(おど)される奴
こち 此方、構やせぬもの
ごて 邪魔入り
ころす 踵で屁を、又品物を売却或は質入
※こわい 年でもあるまい
こわい 歳でもあるまい
こぞう 粉にして団子にシヨ
こいつ 此奴(こやつ)
こすい ずるい、狡猾
こゞと 百万だら
※これら にあれらが来るものか
ごねる くたばる、死る
こしぶら 腰がぶらぶら
こツそり 忍び込み
こりこり あれにはモー
こひやみ お医者さんでも有馬の湯でも
こぼれる 愛嬌が
こむすめ と粉袋は油断がならぬ
こせつき 気の小い奴
こそこそ 官吏の密会
こがるゝ なんとシヨ
こはめし 長崎から御遣物
こツくり 狐狗狸さま
ごろはち 大茶碗の発明者
ごたくさ 政友会の内幕の類
ごろつき 文士にもあり
ごゐさぎ 平沼専造
ごわへん そんな事は(大阪語)
こゑがはり 発情期の徴候
こけおどし 俄紳士の風装
※こざかしこ 桐原捨三の類
こざかしこ チヨコ才子
ごふさらし 森平兵衛の類
ごにくわい 一六銀行の異名
ごくつぶし 製糞機
ごばうぬき 大根を抜く事もあり
こんのゝれん 桔梗の紋もあり
こづらにくい 大面を構へると
これにこりヨ 道斎坊
こらへてくれ 堪忍して呉れ
こましやくれ た事ぬかす
こゑがたかい シー
※こツぱやらう ユスリ新聞社員
こツぱやらう 吹けば飛ぶ様な奴
こめくひむし 華族連
こひぢのやみ 家根裏の猫
ごへいかつぎ 迷信者
ごふつくばり 野口茂平
ごろごろさま 雷公
こんちくしやう 馬鹿にして居やがる
こゝまでござれ 甘酒飲ましよ
こんこんちきや こんちきや
ごたくをこねる 屁理窟を云ふ事
こおろしぐすり 毎月丸の偽効能
こたつのおなら 是はたまらぬ
こまちおもへば 照る日も曇る
ころりんしやん 琴の音
こまでなしたる 三勝どの
※ごみためへつる 大阪市へ鶴定
※ごむきんちやく 何程でも這入ます
ごてごてぬかす と頭頂(すこ)が飛ぶぞ
こんやのあさつて 当にならぬ事
こわいものみたし 妙齢者
こチヤかまやせぬ 七ツの鐘の鳴る迄も
こなやのぬすびと 白粉こツてりの女
こどもはかぜのこ フウフの子
※こよひしのぶなら 簑着て笠着て
こどものけんくわ に親が出る
ごまめのはぎしり 及ばぬ事
こんばんはありー 芸者の挨拶
こひはしあんのほか 愛は情の内
ころばぬさきのつえ 予防法
こんやのしろばかま 姙孕錠の本舗に子なし
こんにやくのいふれい ひよろひよろ
ころんでもたゞはおきぬ 図太い奴
こうくわいさきにたゝず 提灯持にあらず
ごひやくらかんのどようぼし 醜夫の寄合


  

えへん 高慢の咳払、廁の中の掛声
えーぜ お安くない、畜生ッ
※ゑじき 犬骨折ツて鷹の
※ゑへゝ おほゝ、あはゝ
ゑがほ 福の来る相
えてもの 猿、サルモノ
※えいゆう 色を好む人の一種
※えんかん 滑稽新聞の常事
えせもの 似て非なる物
えどツこ 宵越しの金を遣はぬ人
えきしや 我身の上の解らぬ人
ゑんすけ 半助の倍
えもんがけ 金持の馬鹿者、今の大名華族
えびすさん 円札の事
えらさうな 詐欺師野口茂平の面付
※えんこひき 密告
えれきてる 昔の和蘭陀学者の云ふ電気
えてかツて 我田に水
えこひいき 偏頗の沙汰、不平の元素
えびすがほ 借る時の顔
えんまがほ 返す時の顔
えんかいな とりもつ
※ゑそらごと 絵師のうそ
※えちごじゝ 親父や真面目で
えんさかほい 荷車引の掛声
えどのかたき 長崎で討つもの
えぢやないか 明治初年の踊文句
えーびーしー ハイカラのいろは
えんぎでもない 置きなはれ
えんだらばしや 一名ガタクリ馬車
えたりかしこし 此機乗ずべしと
えびでたひつる 詐欺師の手段
えんやらやツと 成就
えらいやツチヤ 大阪のお祭踊り
えんはいなもの 味なもの
えてにほかける 世渡り舟
※ゑツちうとやま 詐欺師野口茂平の郷里
※ゑたむらへしゝ 追込まば出てこぬもの
えびチヤしきぶ 未来の閨秀
えいたうえいたう 御入来の程
えんやはんぐわん 忠臣もち
※ゑくぼのすゞなり 痘痕のこと
※ゑんばうごくらう お宿へ宜敷
※ゑツちうふんどし 向ふからはづれる
※ゑツきすくわうせん 腹中を見抜くこと
えんやらやれこのサー アヽよいよいよい
えんのしたのちからもち 無駄骨折


   

て 手下、助役(すけやく)、ユスリ刑事の下働き等
てら 博徒の親分が徴収する金
てき 敵娼の敵 あの子と云ふ代名詞
※てし 手に同種の花札四枚あるを云ふ
でも でも医者、でも紳士の類
てぶら 吝嗇者(けちんぼ)の訪問
てつる 縁故、電信とも云ふ
てかけ 但し足もかけ
てばな 指にてかみの倹約
てづゝ 不器用の女房
てくせ が悪ければ盗人なり
てなべ 下げても厭はぬは恋愛深き女
てんご 串談、悪戯(わるふざけ)(関西語)
てくだ 芸娼妓が客をだます手段
てあひ 彼(あ)の連中は油断ができぬの類
てれる きまりがわるい、又は恥かく事
てなが 後へ廻される奴
てんぐ 鞍馬天狗、岩谷天狗、独り天狗
てんで 各々別々に
てめへ 其方、手前
てんと あかぬ、カラだめ
でべそ で戻された
てこずる 手に余る、仕方が無い
てつぱう 嘘をつく
てをくれ へぼ医者の定文句
てじやく 一人の酒呑
てツきり 必定、相違なく
てれつく 大きな馬鹿者
てんぷら 偽物、天麩羅紳士、天麩羅時計
てこねる てこずるに同じ
てきめん 天罰又は効果の立所に現はれる事
てぬるい ピシピシやらぬ事
てやてや 何の事か分らず
※てさぐり 夜の泥棒
てのもの 自儘になる物
てづかみ 一時に千金、又お盆なしの給仕
てなこと おしやいましたかネ
てんてん 小供の頭、又太鼓の名
でツぷり 満々と肥太って居る事
でれすけ 鼻の下の長い男
できぼし 成上り、俄紳士
でぼちん でこすけとも云ふ
でたらめ 出放題、口から出任せ
でくはす 出会ふ
でんしん 就職又は昇給の手蔓
てまへみそ 塩が辛い
てきれきん 縁切り金
てれくさい 阿房らしいの一種
てをつける 下心があつて
てゝなしご 一妻多夫の子
てつめんぴ 野口茂平のつら
でくのぼう 間抜者、阿房
でんきとう 禿頭
でしやばる 嬶大明神などの御出張
できごゝろ 其場の、怪しい関係又は盗み根性
ではうだい 出鱈目に同じ
ですぎもの 生意気な奴
てぐすねひく 今か今かと待伏する事
てんてこまひ 謡曲外の芸事
てもちぶさた 畳の塵でも捻(よ)らねばならぬ
※できそこない 不具、阿房
※でれすれさん きなはツたか
※でんでんむし 幸田露伴
ていけのはな 解語花(ものいふはな)を
※てりてりばうず 晴天祈願者
てあたりしだい 薙切り又は取たり捨たり
※てらからさとへ 政府から賄賂の様な事
てんきがわるい 雨の降る日、又主人の不機嫌
てんばうにんげん 頑固老爺、旧弊人
てんびんにかける 重い方をとる
てんからふんどし 長い話
てんぷらくひたい 流しの新内語り
てばなしのベカコ 醜い顔
てんじやうがきなくさい 獅子鼻の事
てるひもあればくもるひもある クヨクヨ云ふな


   あ

ありー 難有(ありがたい)の略、東京芸妓の常に用ゆる語
あいよ ハイに同じ応答の詞、同上
あーあ ツマラヌ、嘆く時の声
あらま 呆れた時に発する詞
あのこ 好いた女、小指の代名詞
あんよ 小児の歩くこと、足
あいつ 彼奴(あのやつ)の約、図太き人を指して云ふ詞
あばよ サヨナラに同じ、甘ツたれ女の用ゆる詞
あぐむ 持余すこと、仕様に困ること
あみだ 阿弥陀籤の略、当れば難有いもの
あせらく 痘痕
※あかもん ハイカラの製造所帝国大学
あれしこ あればかり、筑後人の言葉
※あーめん 天国へ行きたがる言葉
※あめけい 雨宮敬次郎といふ横着者のこと
※あくせん 身につかぬもの
※あけぐれ お前のことばかり
※あななし 欠点なき人、又欠点ある小野小町の類
あとばら 遊んだあとで腹を痛めること
あんいり 密約相撲、餅や饅頭の様に旨く転がる
あぶせる 覚悟しろと隠し持つたる一刀を
あつたら 二八の花を無漸に散らすなどの類
あべこべ 逆様、悪盛へ善衰ふ今の世の中
あてごと 向ふから外れる、越中褌の類
あつあつ 九十九度以上の熱、二人のなか
あかうそ 白々しき真赤な嘘
※あいたゝ コツント突当るかグサと踏抜くとき
※あ○はち 破れ易い新しい鉢のこと
※あきだな 夜抜のあと、貸家
あなづり 軽蔑すること、鰻を釣ること
あかにし 赤螺屋、吝の代名詞
あかはら は垂申さず、嘘はつかぬと云ふ奥州語
※あめいり 雨入り四光、雨入り空素(からす)の類
※あかえり 大阪の舞子、年若き別嬪
あほらし 馬鹿気て居ること
あかげつと 田舎者、洋行者
あきまあり モグリの下宿屋
あかんべー 人を馬鹿にすること、丹平の商号
あてこすり 遠廻しにイヤミを云ふこと
あんたはん あんぽんたんのお前はんと云ふこと
あぢなもの 縁は奇なものの類
あいたくち 牡丹餅の入る口、閉(ふさ)がらぬ事もあり
※あはうどり 信店翁、赤毛布の椋鳥などを云ふ
あぶらうり 昨日からまだ帰らぬ
あぐらかく 安座すること、獅子鼻
あめざいく 朝鮮の名物、日本の政略
あわをくふ 腹のたしにはならぬ食ひものなり
あしをだす 足を出すと尻が割れかゝる
※あきなすび たね少く味よし、嫁に食はすな
あきめくら ホコトン議員、キラク知事の類
※あめしよぼ 風俗を壊乱せぬ面白い踏舞(おどり)
あたまわり ひどく割りつけられると痛いもの
※あきのそら 男心、変り易いもの
※あかいわし 腐り刀、猫の飛び付くもの
あかいわし 腐り刀
あさがへり 多くは馬に乗つて帰るなり
あらものくひ 何でも新しい物を好くを云ふ
※あうんはらは 金儲けのできる新舶来の宗教
あひたかつた と目に涙
あひあひがさ 罪つくりです
※あしわけぶね 滑稽新聞投書集
あいすくりーむ 高利貸をいふ
あぶらしやうじ 火のつき易いもの、娘の淫奔
※あさひしんぶん 保守主義、千篇一律、老耄
※あさくらさんせう ヒリヽやヒリヽと辛うござる
あげたりさげたり 米相場のやうに
あくたいもくたい いひたい放題
※あれみやしやんせ 障子細目に引開けてのこと


   

さと 色町、実家
さる 豊太閤、又人真似する奴
さび 身から出るもの
さ○ かつら
さん ハイカラー氏曰く芸妓(げいしや)さん
さし 二人の向合
さかて 人夫にねだられるもの
さのさ 何の事か存じ申さず
さわり 浄瑠璃の、月の、
さツさ 早く、友房
さかい そうやさかい、あーやさかい
さあさ 脊負ッてけ持ッてけ
※さやゑ 前号に詳かなり
※さぎし 野口茂平
さかる 犬や猫などが
さんざる 庚申塚
※さぶさぶ 飯をかき込む音
※さがりめ 助倍の眼付
さめはだ 触つて心地の好く無い皮膚
さてさて 困ツたものだ
さしがみ 即刻当庁へ出頭可有之候事
※さんかく 北が無ければ
※さしづめ 今宵はまち女郎
※さだめし 御存知ならん
さんすゐ 金の無い奴(大阪語)
さやあて 不破と名古屋
さいのめ 一から六
さるもの ありと聞こへたる人
さいごべ 鼬の死際
さばよみ 数をごまかす事
さつびら 切つて捨てる物
さいとり 中間に立つ儲け師
※さいくん くさいくん
さんざん な目にあはす
さんずゐ 没書の事
さりとは つらいネ
さやうか そううでおますか
さかさま 今の世の中
さしでぐち 出しやばり口上
さかびたし 飲んだくれ
※さつまいも おならの元素
※さはいにん 店子に憎まれる人
※さしおさへ 判検事又は執達吏出張
さらんばん をきめこむ
※されかうべ 肉気の無い物
さりじやう 三行半
さらまなこ 目を大きく開ける事
さどのつち 金
さらけだし 財布又は隠し所を
※さるしばゐ 滑稽劇
ざしきらう 淫奔娘や放蕩息子の室
さゝほうかい …………
※さがみおんな 或物を見せるな
さあさあさあ 返辞はなんと
※さんづのかは 地獄名所の一
さみせんまくら 芸妓の売淫
さいこどんどん どん
※さんにんよれば 文殊の智恵
さらさらさツと 才三が
さんもんぶんし 筆では飯の食へぬ奴
さぞやさぞさぞ 嘸々嘸や嘸や嘸々嘸や嘸
さてもそのゝち さる程に
※さけとおんなは 敵なり
さゝはらはしる 疵持つ足で
※さるかにかツせん 復讐談の元祖
さいくはりうりう 仕上げを御覧じ
さんべんまわツて 煙草にしよ
さしあしぬきあし 忍び込む
※さんみちうじやう 鮓屋の若者
さいふのはらくだし 銭が無くなる事
さるもきからをちる 千慮の一失
さんねんあとのきず 強盗殺人
さはらぬかみにたゝりなし とは云へぬ
さけのゑひほんしやうたがはず 折詰盗人


   

きざ 気障な言、気障な奴
ぎふ 時々馬にも化ける獣的動物
きれめ 金の切目が縁の切目
※きツす 接吻、おさしみ、北山
きヤつ 彼奴、あのこ
きばる 奮発する事
きりうり 名前又は肉
きさまら 其方達といふ事
きまぐれ 今頃何しに来なはつた
きどりや いやな奴
きやすめ 一時のがれの文句
きれもの 役に立つ人物
ぎヤふん とまいツた
きたシヨ どツこいサ
きじるし 気狂
きんけつ 金の穴
※きうあく 野口茂平の強盗殺人罪の類
きてれつ 奇妙、不可思議
きられた けさがけにきられたの類
きがすむ 顔見たばかりで
きツかけ 機会
※きかざる 見ざる言はざるの対
きヨろり 椋鳥君の面相
※きのくに 蜜柑船
きもだま 癇癪玉と同様無形の玉
ぎツチヨ 左ぎツチヨと云へば左利
きヤシヤ 好いたらしい姿
きがせく ブヾづけ一ぱい
きはどい 所でおのろけ
きたなり 北国の雷、一枚着物
きやうげん 計略の一種
きんちやく お伴
きりしたん 魔法つかひ、基督教
きんたらう 文無し男(吉原でいふ言葉)
きはものし 時機商人
※ぎツちヨん ちヨんぎツちヨんちヨん
きいたふう 知つた風に同じ
きやうじや 狼とも云ふ
※きいのくに 音無川のある国
※きんチヤン 甘(うま)い甘い
※きよくせん 裸体画の要所
きをつけろ 間抜野郎メ
※ぎんみとり 八々憲法中の語
※きびだんご 一つ下されお伴を致さう
きがもめる 横取られはしないかと
※きんざんじ 味噌すり坊主の本山
※ぎよくもん 玉の門、春風不度玉門関
きたこらサ よいやサ
きつねけん はいヨ、とこあいこ
きんらいきんらい のツぺらぼう金来々
きみがわるい 腐ツた鶏卵
きくめんせき 痘痕の一名
きずもつあし 篠原走る
きやりおんど 和歌の浦にはヨーイー
きいろのこゑ お二人さんー鍋で御酒
きりきりまい 天梃舞と同様素人芸
きはづかしい 何だか
きやうのゆめ 大阪の夢
きまりもんく 毎度おうるさう
きえてなくなれ 溝鼠
きまりがわるい 年でもあるまい
※きのねのまくら 山の昼寝
きんちやくきり スリ
きいてごくらく 見て地獄
きれいさツぱり 切れたら他人
きいてあきれる 何をぬかす
※ききやうのもん 紺の暖簾に
きにたけをつぐ 無理といふこと
きびすがんがん 意外どんす
きつねのよめいり 晴で雨降
きりはらすてざう 一名切捨
きようどうべんじよ 助倍女
きりきりはくじやう いたせ
きなはつたかでれすけさん とこ難題


   

ゆすり ユスリ、脅喝取財、新聞屋の本職
ゆらさん メンナイの鬼
ゆみなり 老人の腰、くの字
ゆツくり とツくりを相手に
ゆきだるま 目口は炭団
※ゆやのぞき 磯野秋渚先生
ゆびすまふ 行司なし
ゆめにぼたもち 胃病にはならぬ
ゆだんたいてき お気をおつけなさい
ゆのじぎはみづ サヨナラお先
ゆがみこんじやう 土性骨の曲ツた奴
ゆきあたりばツたり 人間到所有青山
ゆめになれゆめになれ 凶(わる)い事に逢ふた時


   

めろ 女の事
めど めあて、目的
めだま ひよッくり玉
めかけ 手かけ、足かけ
※めみえ 奉公初め
めぼし をつけて
めんた 婦人の醜面
めかし て何処へ
めツき 当世紳士
めぬき 繁華の市街
めさき が変る滑稽新聞
※めんない 此絵の通り
めんない 目隠し此絵の通り
めのどく 気の毒にも成る
めじるし ほくろや禿
めしもり 宿屋の淫売婦
めどほり 叶はぬ、下れ下れ
めんつう 乞食又は懲役人の食器
めけもの 御注意
めんねこ 淫売芸妓
※めかくし 後からソツと
※めしとる ふん縛る
めぼしい 物を押へる高利貸
めいげん 七赤金性男
めりこむ 思惑違ひ
めさまし 立派なものだ
めざわり だ、引込め
めくばり きよろきよろ注意
めうてこ 矢張り妙てこ
めしつぶ 月給
めツかち 伊勢の瓶子
めゝツち 男らしく無い
めそめそ 泣いてる
めりめり 足音が
めつそうな どう致しまして
※めんくらふ 周章狼狽
めくらいん ペタペタと
めんえうな ハテ
めちやめちや わや
※めはちぶん 小笠原流
めをぬすむ 抓み食ひ又は遊惰
※めんしよく 食ひはぐれ
めツたやたら 無茶苦茶
めじりさがり 助倍野郎
めくらさがし 目当なしに
めツぽうかい 大安売
※めんぼくない 破廉恥の反対
めんぼくない 口ばかり
めいどのたび 西方十万億土
めからはなへ 賢い人
めがねちがひ 鑑識の誤り
めつたむしやう やたらに同じ
めのうへのこぶ 邪魔になるもの
めとめとてとて 鼻と鼻口と口
めからひがでる 鼻からは提灯
めくらせんにん 目明千人
めもとでころす 大阪本町糸屋の娘
※めいどのみやげ 老人の博覧会見物
めいどのみやげ 老人の遊山
めにものみせる 其処動くな
めのくそおとし 呑助の朝酒
めしのうへのはへ 胡麻の蠅に似たり
めをかんでしりふむ 迚も迚も
めだかもうをのうち 盗人も官吏の中
めくらへびにおぢず 聾者雷鳴に驚かず
めくらのかきのぞき 分るものかい
めもくちほどにものをいふ 恋の魔力
めいぶつにうまいものなし ぢや
めのよるところにたまがよる 人のよる処へは掏摸がよる
※めうやくなし 詐欺師茂平にも


   

みそか まごつきの出る日
みうけ 気受が好いので
みたて 理想の美人として
※みれん 忘れられん
※みざる 言は猿、聞かざる
みやげ 大紀念
※みもち 流行又ボテレン
みさげ た土根性
みづあげ 手活の花にする前
みツちや 笑窪の鈴成
みちゆき 手に手を取ツて
みくびる 相手にせぬ
みづてん 八々憲法の変則
みせしめ 一時の勘当
みすくみ 蛙、蛇、蛞蝓
※みづばな 寒い寒い
みすみす 宝の山を
※みのがす 刑事巡査が罪人を
みえばる ハイカラー、偽侠
みぶるひ オー怖、いやらしい
みちづれ 旅は
※みしみし 滑稽記者の筆鋒
みちくさ 丁稚小僧に喰はれる
みてくれ 外見
みそめる 何処の――やろ
みせがね 遣はぬ金
みきりもの 大安売
みづくさい 冷淡で
みづをさす 熱い中へ
みづのあわ 消へ失せる
みゝこすり 目の前で口悪
みそをつける 田楽の様に
みくだりはん 離縁状の古法
みツかばうず 度々改宗
みかけだふし 表面立派
みツともない お止(よし)なさい
みせをあける 小間物、八百屋
みかづきさん 宵にチラホ
みづかけろん 火事の火元争ひ
みてみぬふり 刑事巡査が賭博の公開を
みゝがくもん 直に口へ出る
みこしがきく 米界の通言
みられがきく 芸妓の僥倖
みそがくさる 平凡浄瑠璃
みからでたさび で顔が青くなる
※みつめにふだう 怪物
みたらみゝつく 飛んだら鳶
みやくがあがる 食へ無くなツて
みるめかぐはな 閻魔王の顧問官
みだりがましい 助倍男女の行動
みかづきまゆげ 美人三十二相の一
みはみでとほる 裸ン坊
みゝをそろへる 金札
みるはいツとき 話は末代
※みるはほうらく 便所のぞき
みうごきもせぬ 沈獣正座
みゝずのぎやうれつ 拙い筆蹟
みをつくしのしるし 大阪市役所
みぎといへばひだり 曲り根性
みづのみひやくしやう 小作人
※みくさツてかひくさらん 夏の蛤
みいらとりがみいらになる 罪人調が罪人
みつごのたましひやくまで 消(う)せぬ
みゝをふさいですゞをぬすむ 阿房注意
※みえすく 茂平の詐欺手段、肺労散の広告
※みる 水の事なり(小児の語)
みかぎる 捨る、相手にせぬ
みえぼう みえばり人
※みやさん お馬の前に云々
※みじめな 哀れ、惨酷に
みせかんばん 煙草屋の娘
みかけばかり 当世流行のハイカラー
みそすりばうず 小坊主
※みーちやんはーちやん 今の小説
※みればみるほどつらにくひ 奴野口茂平


   

し 火(東京語)
しか 落語家
しゝ 小児の小便、虱
しつ 黴毒、かさ
しやば 此世の事
※しらみ 乞食の金平糖
したび 衰へかけた事
しツぽ 多くは帳尻から出す
しんねこ 珍々鴨の差向ひ
※しれもの 野口茂平の類
しれもの 頭抜けの悪漢
※しらうと 真人間
しりがる 共同便所の一名
しろうま 濁酒(どぶろく)
じゆばん 弥次喜多の幽霊
じだらく 無精者
じツせん 地獄の白首
しんまい 新参者
しかつめ 真面目、四角張
しぶちん 吝嗇者
しろもの 女又は売品の事
※しんぶん 社会のボツタクリ
※しんない 二上リ
しゝばな 獅子鼻
しツぽり 濡れる事
しりうま 乗ると落ちる
しこたま 沢山、多く
しくじり 失敗
しやべる 饒舌喃々
※したおび 解けやすい
したのね 乾かぬ内に使ふもの
じれツたい 大阪語の歯痒い
したつゞみ 口三味線には合はぬ
しぼりとる 財布の金を
※しのゝめの ストライキ
しりくらへ 観音様
しもがゝり 猥褻
しよんぼり 幽霊の立姿
しらばくれ 知らぬ顔
しばのばし 遊び事
しわんぼう しぶちんに同し
したをまく 驚き呆れ
しあんのほか 色の道
しゞふしまだ 姥さくら
しやちこばる 横領者
しようもない お止(や)めなさい
※しゞふはツて 裏表あり
しやらくさい 止して呉れ
しやれかうべ 肉気の無いもの
しやくのたね 主の浮気
しんきくさい 鬱々又は面倒
しにぞこない 眼開の梟首
しツペいがへし 復讎
※しらはのむすめ 可愛想
しにものぐるひ 一生懸命の乱暴
しやうぎたほし 金が倒れると銀行までが
しんからかあい 真正の恋愛
しらかはよふね 夢中旅行
しようことなし にウン
しんにふかける 一層の悪物
しりきれとんぼ 後の無い事
※したきりすゞめ 昔話
しらぬがほとけ 知ツてもホツトケ
しめこのうさぎ 旨いもんなり
しかりしかうして 真面目の事
しつないりよかう 四畳半探険
しにんにくちなし 新聞をして言はしむ
しゝくふたむくひ で泡を食ふ
しばらくしばらく 十八番の一ツ
しやくしじやうぎ 杓子定木
しぞくのしやうはう 損失受合
しゞみがどげざする 涅歯(そめは)の露出
しろいははみせられぬ 直に附込むから
じやりばのいぬのくそ 痘痕の一名
しようぶづけのしたをみよ 平凡力士


   

ひゝ 好色獣、伊藤侯爵又は岩谷天狗の異名
びた 一文は一毛の価値あり
びん 賭博の賽の目の一
ひねる オツナ趣向、又首を
ひにく 皮と肉、中に骨あり
ひなし 銭なしの借金返済法
ひかす 芸娼妓落籍(みうけ)、手活の花とする事
びッくり 仰天、しやツくりが止まる
ひつこい 執拗、捉へて放さぬ
ひやかし 素見ぞめき
ひがらめ 色目の偽物
ひあがる 奉公口が無いと喉口が
ひきずり 鉄棒(かなぼう)をひきずる女
ひとまね 人面猿心
ひざまくら 好た同士
ひどいやつ 詐欺師野ロ茂平
ひるとんび 夜鷹を買ふ
ひぢりめん 鬼の皮より畏(おそ)ろしい
ひツたくり 執達吏とも云ふ
ひだりまへ 身代限りの前、縊死(くびくゝり)の前
ひかげもの 世に出られぬ奴
ひけらかす 衒ふ、これが欲いか
ひざこぞう 独身者の同衾者
ひツくるめ 収賄官吏を、ひツくゝるべし
ひだりねぢ 女学生の頭につぐねたる物
ひよツとこ 剽軽な面相
ひのくるま 高襟(ハイカラ)紳士の自用車
ひだりづま 親は左団扇
※ひごずゐき 肥後の名産
びかちやう 垂涎も三千丈
ひとめのせき 恋路の難所
ひツぱりだこ 八方より手取り足取り
ひぢでツぱう 一ツ丸(だま)
ひねりころす 蚤や虱を、又罵言
ひよんなこと 伺ひますが
※びくにゝまら 坊主に金
びくびくもの 拘引漏の視学官
びんばふがみ 八百万神の外
ひとくちばなし 短い落語
ひらぐものやう 挨拶の形容
ひツこみじあん 退歩策
ひさしいもんだ 聞飽き見飽き
ひやめしくらひ 甚六の弟
※ひりゝやひりゝ と好(よ)うござる
ひるまがうたう 収賄官吏、ユスリ新聞社員
※ひらがげんない 七赤金性男、肝癪王
※ひやうろくだま 役に立たぬ役人
ひとなみはづれ 馬並、鹿並
びーどろさかさ 昔の美人
ひそひそばなし ナイシヨだすゼ
ひるめしけんたい 朝寝坊
ひきつりひツぱる 笑窪の鈴成
ひとくせありさう な面付
ひがみこんじやう ひねくれ者の心
ひしやとりわうて かくなる上は仕方なし
びんばふひまなし 銭も無し
びツこのやりもち あげたりさげたり
ひざともだんがふ 懐中とも相談
ひうちばこのやう 火の出る様な小い家
ひいきのひきたほし 有難迷惑
ひんすりやどんする 娘は緞子の夜具
ひぢきのぎやうれつ はぢかき
ひらたひらへいべい 平平平平
ひとすぢなわではおへぬ 鉄鎖(くさり)でなければ
ひとはみかけによらぬもの 善悪は心
ひとをのろはゞあなふたつ 因果応報
ひとりむすめにむこはちにん 韓国
びんばふにんのけいづばなし 系図買いもする
ひとのせんきをづゝうにやむ 片腹痛い
ひやくにちのせつぱふへひとつ 河童なら水泡
ひとのうわさもひちじふごにち 初物と同格
ひとのくちにはとがたてられぬ 鼻薬では如何
ひさしをかしておもやをとらる 支那の前途
ひもぢいときのまづいものなし 旨い言


   

もめ 葛藤、喧嘩、訴訟(くじ)
もー 最早、又小児語の牛
もさ スリ
もぐり 法律潜り、三百代言
もツと 沢山お呉れ
もんび 紋付を着る日
もたれ 義太夫の花方、昨日の芋が
もろい 涙弱し、力弱し
もてる ふられるの反対
もぎとる ボリ商人
もんどり 打ツてドブリ
ものいひ 付けられて預り
もんなし 貧乏暇も無し
もんもん 文身(いれずみ)
もみなひ 旨く無い
もさひき 案内者、ポン引
ものまう ドーレ
もツさり 南瓜の砂糖煮(さたうだま)
もくべえ 田伍作の兄弟
もじもじ 恥かしさうに
もみつぶす 収賄の結果
もたれこみ ズルズルベツタリ
もしもしや 下等の女郎屋
もんくなし 閉口
もえあがる 喧嘩が、燈火が
もつれあふ ゴテクサと
もゝんぢい 魑魅魍魎
もちぐさり 宝の
もちあげる 煽動、下から
※もちかける 女の据膳
もぐらもち 狡猾の一名
ものにする ユスリ取り、又女を
もらひなき 芝居の見物人
ものごゝろ やがては春心
もちきれぬ ので人手に渡す
ものわらひ 人様の
もらひだめ お茶屋の姉さん
もとのさや に納まる
もてあます 腕白者、売残品
もあひがさ 濡て嬉き四の袖
もツともぢや 見物人の同情
もちはもちや 酒は酒屋
もくねんじん 阿呆の一名
もツさうめし 監獄のお手当
もぬけのから 跡は貸屋
もんきりがた 定文句
ものいふはな スコ的
もツてのほか 聞捨ならぬ
もんじゆのちゑ 三人寄れば
もツたいつける 当世高襟紳士
もくぎよーこう ポテポテ
もツたがやまひ 悪い了見
ものぐさたらう 無精者
もとのもくあみ 以前の通り
※もくもくぎいん 政界の唖
もツともらしい 髭を撚ツて
もんぜいばらひ 無心客を
もとねがきれる 商人の口癖
もツけのさいはひ 案外の幸福
もんぜんのこぞう 習はぬ経を読む
もゝくりさんねん 柿八年
もちもさげもならぬ 困ツた奴だ
ものはいふまにきけ スリは其間に取れ
もとのからだにしてかへせ 婦人の難題
ものしたものをものせられる 者もある
※もへい 詐欺師野蜘蛛、肺労散登明家


   

せく 急ぐこと
せじ 丸める、愛嬌ある嘘
ぜゞ おあし、銭
ぜろ 零点
せつせ チヨイトチヨイト
※せいし 偽の約束書
せなア 兄(東京語)
せぶる ユスリ
※せむし 鳩に文庫
※せどり 利益せぶり取り商人
※せりふ 申上げます
※せつぱ つまる
※せいぎ 瓦礫多新聞の標榜
※せがれ 息子、又親父と同年者
ぜげん 人身売買者
※せつない 苦しい
せんせい 馬鹿の一名
せんみつ 大法螺吹
せつぶん 恋の使者
せわやき 入らぬ心配
せしめる 詐欺師野口茂平が田舎者の金を
せツかち 思ひ立つたら直に
せうべん 買物の破談
せんだく 生命の
※せかれる 責められる事
※せ○○り 蝋燭屋
※せきひん 洗ふが如し
せんまつ お腹が空ても
※せつけう 小言、異見
ぜいろく 上方人
※せんりう 柄井川柳狂句の祖
せきがはら 勝敗の分れ途
※せうせつか 蚊士の一種
※せきたてる 早く早くと
せきばらひ エヘン
※せけんなみ 何寸何分
せちがらひ 世の中
※せうのむし 殺される
ぜひがなひ 銭が無ひから
せけんてい 外聞
※せんこだい 一本十銭
せけんみず 井底の蛙、深窓の佳人
※せなとえど 一度見たい
せいうけい 古褌
せゝらわらひ 何を言て居かと
せんきんたん 本家は対州ケ原
せたいじみる 吝になること
せなかあはせ 喧嘩の晩
せツちんむし うじうじ連
※せうべんぶね 小柴舟の一名
※せつたなをし 野口茂平の根性
せつたなをし 根性の穢ない奴
せうことなし ノツピキならず
※せんりのやぶ 虎の住家
※せんにちまへ 一人前三銭
※せんしうらく 目出度し目出度し
※せいたかどうし お化の一種
せんべいぶとん 一枚で
※せんりもいちり 思ふて通へば
※せけんのうわさ 七十五日間
※せたのからはし からかねぎぼし
※せめておまへと 一日なりとも
※ぜんだいみもん 空前
※せんりやうのかた 編笠一蓋
せツちんのやりもち 振廻しがつかぬ
せどのだんばたけで 茄子と南瓜と
せツちんでまんぢう 臭い中で旨い
せんばんにいちばん 仕損は御容赦
せにはらはかへられぬ 当り前
せなかにせんりやうばこ せむし
せいてはことをしそんじる まあま
せいくらべならよこからこい 大道臼


   

※す からす
すり ユスリの親類
すで みやげ無き訪問、徒手
すか 食はされるもの
すめ 酒を飲んで居ぬ事
すこ 頭(かしら)
すねる 背で簞笥を
※すごし 恐ろしい
※すべる 転ぶ、開帳、失敗
※すがめ 伊勢の平氏
※すだこ 生臭坊主
※すかす 屁を殺すこと
※すきみ 襖の間より
※すくむ 縮みかゞむ
※すてご 手淫
※ずぶり とドテツ腹に白刃
※すぼき 藁づと
※すくね 野見、武内
すます おつに
※すける 代りに飲む
すしづめ 押込むこと
すゑぜん 食べぬは男の恥
すりこぎ 足を、筆を
すたすた と走り
ずたずた に切り
ずんずん と進む
すてゝこ 三遊亭円遊の得手踊
すばしこ 敏捷、抜目なき事
すてぶち 飼殺し料、元老の年俸
※すてふた 詐欺師野口茂平
すひとる 生血を
すねきち 膝小僧の名
※すきはら 不味いもの無し
※すがはら 表裏あり
すけさん 小間物売らんすか
すさまじ 聞いて呆れる図太き一種
すげなし 無愛想、外にできた様だ
すかたん グレハマの事(大阪語)
※すまない 謝罪の一種
すかるゝ ナントシヨ
すこてき 頗る非常の美的
すけべい 好色、多淫
すきやし 左様か
すねもの 奇傑、根性曲り
※すなもち 正遷宮の祭事
すどうふ 半可通
※すくねツぽ の金来々
すわりだこ 人体中の動物
すかんぴん 一文無し
※すてんどう と転ぶ
※ずうずうし 野口茂平の類
すいたらし 惚れる端緒
すツぱぬき 肝を冷やす事
すてことば 売言葉買言葉の末
すれからし 海に千年山に千年
※すてをぶね 相手なき女
※すいきやう 物好きに
ずゐとくじ 逃走
すゞめをどり 百歳以上の者もあり
すツたもんだ 悶着
すツからかん 一物も残らぬ事
※すめばみやこ 京に田舎あり田舎に京あり
※すゞきもんど と云ふ侍あり
すゐたどうし 恋愛夫婦
ずんべらぼう 潤飾無き事
ずんべらずんべら 権兵衛の種蒔
すゐがみをくふ 美人薄命
すでのまごろく 一文無の男
ずるずるべツたり 一夜泊りが
※すちやらかちやん お浮れなさい
すゞめのいろごと チヨイの間
すツとこどツこい デレ助さん
すでもこんにやくでも 煮ても焼ても


滑稽辞林跋
 のぐも  野蜘蛛

肺病には西洋医者に妙薬なしと称する肺労散発売の詐欺売薬屋、図太き悪漢なり


《以下は『滑稽新聞』第16号所載。明治34年10月25日》
  臨時すなもちの部    無腸子

天満天神の遷宮祭に付臨時すなもちを担ぎ出して「えらい奴チヤ」の好評を博さうとするのぢや

  ▲すな
○漏すな 今晩の事は誰にも
○通すな 踊り人の外は
○許すな 捕へた間男を
○返すな 借つた衣裳は
○産すな の神は天満大自在天神様
○戻すな 連れ出した女は
○欠すな 毎晩踊りを
○行すな 外の人に
○持たすな お前の情婦だ外に亭主を
○呑ますな 踊れぬ程酔ふて居る
○迷はすな 婀娜な踊り姿で
入物が小いから砂はまことに少々です

  ▲もち
○心もち 祝ふにあらず遊ぶなり
○子もち 今年の娘、来年は私生児持
○焼もち よくもマアあんな女に
○旗もち 馬鹿連とか阿房組とか
○気もち 踊る本人は面白い
○傘もち 仮装御殿女中の附添
○尻もち 踊り狂ふて尻もちを搗くもあり
○亭主もち が踊りの晩に間男を
○借金もち 踊りのおかげで
○疝気もち 踊りにでられぬ
○提灯もち
○癇癪もち 滑稽記者の癇癪に障る
○とりもち 雨がとりもつ縁かいな
○みやげもち 踊りに出た娘が嫁に行けば
○いへもち 町内の踊り費用に閉口す
○合もち
○鳥もち
○鎗もち
○石もち
○国もち
○力もち
○金もち
○肩もち
○たいこもち
○おこゝろもち
○臑に疵もち
○ちヨツくらもち
○椽の下の力もち
○あんころもち
○恨を根にもち
○此外まだ牡丹もちの類あまたあれどお祭に縁なき故略す
《以上は『滑稽新聞』第16号所載。明治34年10月25日》



滑稽新聞記者改作

  当世俚諺集

      (滑稽辞林附録)


  ○当世俚諺集

世の進歩に伴ふて俚諺もいろいろ珍らしいのが出ました皆様はマダ御存知無いでせう

●花より旦那  花見に行て花を見るより善い旦那でも見付けるが当世なり
●死人に口あり  刃物や鉄砲にて殺されし人を見るべし、必ず傷口あり
●西瓜実を喰ふ  皮は糠味噌に漬けて喰ふもよし製法は吝兵衛氏に問ひ給へ
●田を作るよりは詩を作れ  新体詩一頁の原稿料は壱円より参円迄是では田を作るよりもまし
●貧乏金無し  金が無いから貧乏サ、金は金持が持つて居ます
●人の撰挙を頭痛にやむ  誰が勝てもよさそうなものを態々号外買て見る人もあり
●大の虫を殺して小の虫を助く  伊庭想太郎が星亨を殺した様な事を云ふのだ
●活人の眼を抜く  生馬の眼を抜いたとて糞の役にも立たぬ活た人間の眼玉を引抜て旨い事をするに限る
●子の心親知らず  妾(わたし)はモー十七にも成るから早く嫁入りしたいと思ふて居るのに他処から結婚を申込んで来ると、内の娘はマダ小供ですからと断る母さんのつれなさ、ホントに自劣体ヨ 子不孝の者です
●呉ぬ前こそ頭を下げろ  茶屋の姉さん宿屋の飯盛り貰つて仕舞へば用は無い
●女の心と春の空  変り難いのを云ふたのであらうが余り当にはなり難い
●ユスリ三日すりや止められぬ  御経験があるかなどと云ふ勿れ
●濡手で泡  是れはダメと云ふ事なりいくら攫んにでも攫み甲斐が無い
●知らぬがタワケ  インチキ広告をインチキと知らずして欺されるは大タワケなり
●カラスに三本の役あり  空素(からす)が四貫三本が一貫半、合せて五貫半の抜け役なり、善い塩梅に裏菅(うらす)でも打当てゝ宜しいと来れば両方合せて十一貫半、吟味は先以て請合なりとは、阿房阿房
●人は一代名も一代  末代まで残るは戒名ばかりじや嘘と思ふなら墓場を御覧
●サルモノは日々に太し  サルモノとはしたゝか者の別名にて、某所に左る者ありと聞こえたる云々のサルモノなり、日々に太しとは其図太い料簡が日一日と加へ行くを云ふなり
●人の浮気も七十五日  ツイ暗がりの転び寝に飽くまで情を立て通し、十八年も尋ね廻つたは昔の事、今時そんな事は流行り申さず、高々続いて七十五日が関の山なるべし
●記者も書かずば訴へられまじ  左様とか云つて書かずに居れば天下は暗(やみ)の暗になる、正は正、邪は邪、として書いて書いて書きまくり倒れて後に休まんのみ
●障らぬお上に祟なし  記者も書かずば訴へられまじと同じ意味なり
●聞て地獄買て極楽  地獄と聞けば何だか怖い恐ろしい者の様に思はるれど、一度買て見れば是は又案外なる極楽なりと、聞く
●怒つては思案に能はず  皿や小鉢を取て投げる場合に何で思案が出来ましやうヨ
●亭主両婦に見ゆ  お嬶大明神の御罰を受けます
●金無き衆生は度し難し  平賀源内先生の発語なれど今に流行せり
●官吏の子は菓子折の音にて目を覚す  坊主の子は女の声にて目を覚し、紳士の子は花札の音にて目を覚すの類なり
●人のノロケは穴一つ  是は何の事か分らず
●訪ふに怖(おぢ)ず騙るに怖る  堂々たる天下の新聞記者が立派に名刺を携へて玄関から訪問するに大抵は素気なく門前払を食はすの類
●匕首(ひしゆ)に交れば青くなる  維(これ)時明治三十四年六月二十一日東京市参事会室に於て醜魁星亨は刺客伊庭想太郎氏の持てる匕首に交つて青くなれり、一説には其処辺が赤くなつたとも云ふ
●時計は即ち金なり  縦令九十五歳の日用懐中時計でも側はニツケル鍍金の真鍮製にして即ち金なり、大切に思ふべし
●立寄らば食事の前  途中で腹が空けば食時前に友達の家へ見舞顔にて立寄るべし
●人間汗の如し  暑い暑いこう暑くては汗が人間だか人間が汗だか分らない様だ
●可愛妓(こ)と旅をせよ  アブクの儲けでもあれば可愛妓を連れて旅行でもすべし
●土地(ところ)取られて支那変る  列強の為めに追々と分取にせられて昔の支那とは変り行くを云ふ
●掃溜に鶴ハラ  腐敗物の沢山集つてる大阪の掃溜に定吉と云ふ図太い鶴が居る
●嘘から出た嘘  旨く丸めて手鞠の代りに翻弄(もてあそ)ばれるのを喜んで居るのは実から出た実
●総裁の腎張(じんばり)  総領は甚六と極つて居るが政友会の総裁は強突(がうつく)の腎張であるとの意なり
●淫得あれば瘍報あり  淫売を買へば瘍梅瘡などゝ云ふ報ひを得る事覿面である
●七人の子を為すとも男に心許すな  女に云はせれば斯様(こう)でもあらうか
●逢ふた妓(こ)より抱いた妓(こ)  途中でオヤマア旦那何方(どちら)へと云はれるのよりは、大勲位殿の様に抱いて寝る方が好(よ)いとの意なり
●椅子の上にも三年  何事でも三年は辛抱せニヤならぬ、賄賂を取るにも三年同じ椅子の上に腰を据なければ旨い儲けはないとか
●嘘もつのれば山となる  商略上の方便も段々誇張に過ぎては山子(やまこ)と呼ばれ詐欺広告と云はれる
●苦しい時の金だのみ  此たのみは依頼の意なり、平素は誠に疎遠に打過ぎた間柄でも、イザと云ふ苦しい場合になれば、年来の御厚誼に甘へとか何とか云ふて金の無心に来るを云ふ
●花は寝に帰る  花とは解語花(ものいふはな)なり、更花(ふけばな)禁止の御法度を犯せば三日の拘留に処せられる様な事になるから、気の利た花は御用が済めば自宅(うち)へ帰る
●勘定も合はず銭も足らず  公盗が跋扈して居るからいつも帳尻の勘定が合はぬ、それが為めにいつも財政困難と云ふて居る
●馬鹿に附る薬あり  懐中日用時計一個九拾五銭、軽便写真器一組五拾八銭、一日参円五円にもなる内職、卒業後は月給卅円以上になる速記術、肺病には西洋医者に妙薬なし、あるべき所に毛を生やす妙薬などいふ事に、度々騙されゝば、イクラ田舎の馬鹿ボンでも追々利口になりますワイ
●市会から鼻薬  市政紊乱の事実は何も彼もスツカリ承知でありながら、少し許りの鼻薬のために全く黙つて居る新聞社多し
●無い金は払へぬ  どうでも勝手にするがよい
●飲めと言はゞ吐く迄  後腹の痛まぬ御馳走ならば遠慮なく頂戴いたすべし
●広告は見掛によらぬものなり  三段抜又は一頁等其立派な程あてにならぬものなり
●他で喰ふ飯もスキスキ  スキは腹の空(すき)にして旨いものと知るべし
●猫にカバン  猫は鞄でも小判でも啣へ込むものなり猫にカバンを知らないか
●お酒は人の為ならず  請負人が官吏に御馳走をしたり野心家が選挙人を招待するなどは皆自分の為なり
●新聞読みの新聞知らず  滑稽の真意を知らず、諷刺の趣味も解せずして、只無暗に見当違ひの批評を加へるなどの類を云ふ
●大は小を兼ねず  暦を御覧なさい
●稼ぐに追付く貧乏あり  子沢山では
●子も持て知る親の馬鹿  甘いが常
●恋は思案の上  奴には金が有るから
                (畢)


《以下、奥付》
明治三十六年十月十一日印刷
明治三十六年十月十五日発行

定価金十六銭  郵税四銭

不許複製

大阪市東区大川町四十番屋敷
  編輯兼発行者     安田万次郎
大阪市西区江戸堀上通二丁目百十二番屋敷
  印刷者    弘文堂 矢尾弥一郎

発行所
  大阪市東区大川町四十番屋敷
         安田書店
特約販売所
  大阪備後町四  小谷松恵堂
    京町堀通  吉田大華堂
《以上、奥付》