『写生の文学−正岡子規・伊藤左千夫・長塚節』 梶木 剛 著 平成13年3月4日,短歌新聞社発行 46判,408頁, 定価3500円 目 次 } 正岡子規 子規の文学革命…………………………………… 9 短歌の発見………………………………………… 31 正岡子規の白鳥の歌……………………………… 39 晩年の大花として………………………………… 43 写生の概念………………………………………… 48 写生文の問題……………………………………… 56 司馬遼太郎の子規………………………………… 61 子規と漱石、写生文の開展……………………… 68 ~ 伊藤左千夫 伊藤左千夫観望 前史的彷徨………………………………………129 猛進………………………………………………158 『馬酔木』に拠る………………………………183 『馬酔木』に拠る続……………………………201 『アララギ』で…………………………………225 『野菊の墓』『分家』など……………………246 抗争、叫びの詩学………………………………276 愚直の栄光………………………………………298 長塚節 『土』誌……………………………………………319 後 語……………………………………………403 書 誌……………………………………………407 〔参考〕(「後語」より) 収録の一篇について注記を入れる。「伊藤左千夫観望」二八五枚。新稿であるけれど も、全くの書き下ろし新稿ではない。前歴があった。二十年ほど前、昭和五十四年に書 かれた草稿二六五枚があったのである。草稿は書かれたまま篋底に埋もれていた。それ を今度引っ張り出し、全面的に書き改めて新稿とした。始めから終りまで、筆をとって 全く新しい原稿を作った。二十年前の草稿の時は三カ月ほどで書き終ったような記憶が あるのだが、体調が芳しくなかったこともあり、今度の改稿には骨が折れて、二月の始 めから七月の終りまで六カ月かかった。つまり、今年の、寒い冬の頃から、梅雨明けの 暑い夏までの半歳、わたくしは左千夫論にかかり切っていたのであった。書き切った時、 これで一冊の本が纏められると思って、自然に一つ大きな息が出た。 全体の原稿の整理のために暑い夏の一カ月を費やし、暑さの一向に衰えない八月の末、 短歌新聞社に送稿した。初校の終ったところで、いまこれを書いている。この後、二校、 三校と続く訳で、わたくしはこの一年、ほぼ本書に関わって暮らすことになる。