『日本文化研究における歴史と文学――双方の視点による再検討――』
柳沢昌紀 編著
中京大学文化科学叢書 21
中京大学先端共同研究機構 文化科学研究所 
令和2年3月25日 発行

目次

第一部	合戦を記す

甫庵『信長記』寛永元年版における片仮名活字本版下利用の実態
 ――巻第一を例として―― ………………………………… 柳沢 昌紀
天正三年武田勝頼岡崎攻落作戦
 ――神官家記「嶋邑家根元慶図記」の検討―― ………… 村岡 幹生 

第二部	合戦と文事

『東国紀行』にみる戦国時代の交通・宿泊事情 …………… 山田 邦明 
細川藤孝と三条西実枝(実澄)
 ――連歌作品に見る戦国の合戦と古今伝受―― ………… 鶴崎 裕雄
関ヶ原の戦と古今伝受
 ――勅命による開城をめぐって―― ……………………… 小高 道子

第三部 絵巻をめぐって

 説話集と絵巻の鑑賞方法
  ――朗読から読書へ―― ……………………………… 藤本 孝一
岩佐又兵衛の芸能観――浄瑠璃愛好者としての側面――… 深谷  大

第四部 歴史と文学の間

烏丸光栄の閲歴と和歌活動 ………………………………… 中川  豊
歴史における「日常」の発見
 ――大河ドラマ・時代劇・司馬文学と戦後歴史学――… 小川 和也
『近代浅野忠臣詩歌尽』解題・翻刻 ……………………… 飯野 朋美

あとがき
執筆者紹介 
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執筆者紹介(掲載順)

柳沢昌紀(やなぎさわ まさき) 中京大学文学部日本文学科教授
村岡幹生(むらおか みきお) 中京大学文学部歴史文化学科教授
山田邦明(やまだ くにあき) 愛知大学文学部人文社会学科教授
鶴崎裕雄(つるさき ひろお) 帝塚山学院大学名誉教授
小高道子(おだか みちこ)  中京大学国際教養学部教授
藤本孝一(ふじもと こういち) 龍谷大学客員教授・冷泉家時雨亭文庫調査主任
深谷 大(ふかや だい)    中京大学国際教養学部非常勤講師・同文化科学研究所特任研究員
中川 豊(なかがわ ゆたか) 中京大学文学部言語表現学科准教授
小川和也(おがわ かずなり) 中京大学文学部歴史文化学科教授
飯野朋美(いいの ともみ)  中京大学国際教養学部非常勤講師・同文化科学研究
所特任研究員
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あとがき

 歴史学と文学は極めて近い関係にあり、同じ資料を用いて研究することも多い。
しかしながら、その手法は異なり、研究者が交流する機会も限られている。また
手紙を、歴史学では「文書」と呼ぶのに対して、文学では「書状」という言葉を
使うなど、用語も異なることが少なくない。
 中京大学には、文学部に従来、日本文学科と言語表現学科があったが、二〇一
四年に待望の歴史文化学科が設置された。大学付置であった文化科学研究所(現
中京大学先端共同研究機構文化科学研究所)にも、二〇一五年に日本文化グループ
(現日本文化プロジェクト)が誕生し、日本史、日本文学を専門とする研究者が、
それぞれの視点を活かした研究、交流を積み上げてきた。
 二〇一五年には、フォーラム「織豊期の歴史と文学」を開催した。織豊期を主
たる研究領域としている藤本孝一、山田貴司、柳沢昌紀が報告し、その内容は
『中京大学文化科学研究』第二七巻(二〇一六・三)に掲載された。この試みによ
り、歴史と文学双方の視点からの研究が刺激を与え合い、有意義であることを実
感した。
二〇一八年には、フォーラム「歴史と文学の間――歴史家の目、文学者の目」を
開催した。鶴崎裕雄、小高道子、小川和也が報告し、その概要は『中京大学文化
科学研究』第三〇巻(二〇一九・三)にまとめられた。三名は、それぞれ歴史上の
人物の文事を題材に、あるいは司馬遼太郎の作品をもとにして、歴史と文学につ
いて論じた。歴史学と文学には密接な関係があり、相互に補い合うものであるこ
とを明らかにすることができた。
本書刊行直前の二月には、講演会「古典と歴史」を開催した。山田邦明、籐本孝
一、鶴崎裕雄が、紀行文、典籍、色紙をめぐって歴史的事実を解き明かす報告を
行った。
 本書は、以上のフォーラムや講演会を踏まえ、さらには新しい執筆者を加えて、
歴史学と文学の接点をさぐることを目指した。話題が拡散することを防ぐために、
論ずる対象は概ね戦国期以降の歴史事象および資料としたが、その範囲を逸脱す
る論考も一部収載した。また、歴史学・文学双方の視点から検討可能な文献資料
の紹介も含まれている。内容に比して、やや大仰な書名となった感は否めないが、
御寛恕いただきたい。
 執筆者は、中京大学に所属する研究者が中心だが、趣旨に賛同してくださった
学外の方々にもご協力いただいた。また本書の出版にあたっては、汲古書院編集
部の飯塚美和子氏に大変世話になった。深く御礼申し上げる。
   令和二年二月
.                       柳沢昌紀

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