『〈奇〉と〈妙〉の江戸文学事典』


『〈奇〉と〈妙〉の江戸文学事典』

長島弘明 編
A5判、536頁、定価、3200円+税
2019年5月11日、文学通信発行

目次

はじめに
使い方ガイド

Ⅰ まじめにふざける  1~11
Ⅱ 見る・観る・視る  12~22
Ⅲ 怖い? かわいい?  23~31
Ⅳ 善人か? 悪人か? 32~36
Ⅴ 古代を幻想する  37~41
Ⅵ 異郷に憧れる  42~49
Ⅶ 恋する・愛する  50~60
Ⅷ ことぱを磨く  61~65
Ⅸ 物語を織る  66~73

●江戸文学を楽しむための用語集
●奇と妙の江戸文学年表

あとがき
執筆者一覧
主要事項索引
主要人名索引
掲載図版索引
ジャンル別項目一覧
。。。。。。。。。。。。。。。

はじめに

 江戸文学を読むたびに感じるのは、江戸文学の作品には喜怒哀楽の
すべてが生の形で出ているということです。至ってきまじめにシリア
スな作品から、笑いを通り越して涙が出てきそうなほど馬鹿馬鹿しい
作品まで、何でもあります。そういう江戸文学の豊かさは、一般の方
々にぱまだまだ十分に伝わっていません。
 何でもありの江戸文学こそが人を幸せにする、それが言い過ぎなら、
江戸文学を読むと必ず心豊かになる。それを伝えたいためにこの本を
編みました。
 江戸文学の本質は、〈奇〉と〈妙〉ということばで表すことができ
ます。〈奇〉も〈妙〉も、それを合わせた〈奇妙〉も、不思議な物、
珍しい物、普通ではない物、変な物を言うことばです。と同時に、
〈奇〉も〈妙〉も〈奇妙〉も、けた外れに素晴らしい物、とんでもな
く面白い物、極上の美味い物を指すことばでもあります。
そういう〈奇〉と〈妙〉に溢れた作品を有名無名とりまぜて選び、読
める事典として編集しました.各項目は、いわゆる辞書的な記述では
なく、内容がわかるように、また面白さが分かるように書いてありま
すので、やがてその作品を丸ごと全部読んでみたくなるはずです。
 この本を通じて、明るく、雄々しく、気高く、やさしく、優雅な、
そして、時には卑屈で、脳天気で、意地悪で、怠け者で、しみったれ
た江戸人たちの息づかいを、どうぞ存分に肌で感じていただきたいと
思います。
                  長島弘明

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

編者  長島弘明(ながしま・ひろあき)

一九五四年、埼玉県生まれ。一九七六年、東京大学文学部国語国文学
科卒。一九八〇年、東京大学大学院博士課程中退。実践女子大学専任
講師、名古屋大学助教授、東京大学大学院教授を経て、現在、二松学
舎大学特別招聘教授。専攻は日本近世文学。
主な著書に、『建部綾足全集』(共編著、国書刊行会、一九八六~一
九九〇年)、
『上田秋成全集』(共編著、中央公論社、一九九〇年~)、『上田秋成』
(新潮古典文学アルバム二〇、編著、新潮社、一九九一年)、『雨月
物語の世界』(ちくま学芸文庫、筑摩書房、一九九八年。初版『雨月
物語 幻想の宇宙』(上・下)NHK出版、一九九四・一九九五年)、
『古典入門 古文解釈の方法と実際』(共編著、筑摩書房、一九九八
年)、『秋成研究』(東京大学出版会、二〇〇〇年)、『本居宣長の
世界 和歌・注釈・思想』(編著、森話社、二〇〇五年)、『国語国
文学研究の成立』(編著、放送大学教育振興会、二〇一一年)、『名
歌名句大事典 歳時・人・自然』(共編著、明治書院、二〇一二年)、
『上田秋成の文学』(放送大学教育振興会、二〇一六年)、『雨月物
語』(岩波文庫、校注、岩波書店、二〇一八年)など。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

執筆者(五十音順)

一戸渉  位田絵美  大屋多詠子  柏崎順子  加藤敦子  神谷勝広
  金慧珍  金美眞  黄智暉  合山林太郎  高永爛  小林ふみ子
  佐藤かつら  佐藤知乃  佐藤至子  杉下元明  杉田昌彦  
杉本和寛  全怡■  高野奈未  高松亮太  崔泰和  千野浩一  
冨田康之  丹羽謙治  早川由美  韓京子  日置貴之  片龍雨  
深沢了子  洪晟準  牧藍子  水谷隆之  光延真哉  宮木彗太  
矢内賢二  山之内英明  梁誠允  吉丸雄哉
。。。。。。。。。。。。。。。。。