盗作発覚

                        

菊池眞一

文化放送「ゴールデンラジオ」3月第一週は、各パートナーが発情歌を作るというもの。
月曜・辺見えみり、火曜・倉田真由美、水曜・町亜聖、木曜・光浦靖子。金曜の室井佑月分は木曜に発表されたと記憶している。事件は木曜に発覚した。光浦靖子の歌が発表された後、リスナーからの投稿が知らされた。「町亜聖の歌は、工藤静香の『恋一夜』とほとんど同じ」というもの。
5人の歌を聞いた時、私は町亜聖のが一番いいと判断した。しかし、それは松井五郎の詩の世界を盗用したものであった。比べれば明らか。


町亞聖作(盗作?)
濡れた髪はじめて見せた夏の夜あなたを求めて心が泣いた

恋一夜(作詞・松井五郎)
濡れた髪をはじめて見せた夜心が泣いた(これが出だしの文句)


光浦提案で、町は50点減点ということになったが、町のブログには何の釈明もない。明日の放送ではどんなコメントを出すのだろうか。
ネットでは、「誰かに作ってもらった。そのライターが盗作をしたのだろう」という推測が出ている。恐らく、そんなところだろう。
《追記》
2016年3月9日(水)の「ゴールデンラジオ」で、町亜聖の歌が若干話題になったが、町は「大竹さんのために一生懸命考えました」と言っただけだった。盗作を認めれば、クビになる危険性があるから、うっかり認めるわけにはいかないのだろう。世の中、こういうゴマカシが多い


今回のは賞金などはないが、賞金がらみの盗作はいつ頃からあるのだろうか。明治41年に賞金がらみの盗作発覚の記事を見つけた。
『文芸倶楽部』第14巻第8号に「無風流の極」という記事が出ている。

  △無風流の極△
前号(五月一日発兌)本欄「指環」の天位を得たる松阪柳亭七九氏の「人に隠した指環の文字も、晴れて検印(みとめ)に使ふ今日」の都々逸は、博文館発行鶯亭金升選「都々逸一千題」の中に在る由、諸所の雅兄より注意ありたれば、賞金の贈呈を停止す。
(『文芸倶楽部』第14巻第8号。明治41年6月1日)

賞金は1円。発覚せずに賞金をせしめた輩もいたことだろう。


この後、盗作を指摘する人が増えたのであろうか。『文芸倶楽部』第16巻第7号(明治43年4月28日)305ページには、
「告発者諸君に次ぐ!」
として、次のような文章が掲げられている。

告発者諸君に告ぐ!
本欄諸文芸に関する、剽窃若くは暗合の告発は、その有意たると無意たるとを問はず、被告の名誉を損ずる事大なるものなれば、告発者は最も慎重の態度に出で、必ず証拠物件を添付せらるべく、然らざるものは一切受理せざる事とせり。
    月  日         懲罰委員会




2016年3月8日公開

et8jj5@bma.biglobe.ne.jp

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